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■悪性腫瘍とは

腫瘍を良性腫瘍と悪性腫瘍に分類した場合の,後者をいう。悪性腫瘍は,上皮性悪性腫瘍と非上皮性悪性腫瘍に分けられる。上皮性悪性腫瘍を癌(Cancer),非上皮性悪性腫瘍を肉腫(sarcoma)と呼ぶ。一般の人向けに,癌が悪性腫瘍の意味で使われることがある。悪性腫瘍は,放置すると増大し周囲の組織に浸潤するので(浸潤性増殖),手術では,腫瘍の周囲の組織まで切除される。悪性腫瘍の多くは,進行すると転移し,腫瘍の近くのリンパ節にリンパ行性に転移したり,血行性に肝臓,肺などの他の臓器に転移する。胃癌では,癌細胞が腹腔内に散布されることがあり,この転移の方式を播種という。

参考文献:医学大事典 南山堂

■肉腫とは

肉腫(sarcoma)は,非上皮性組織に発生する悪性腫瘍の総称である。肉のような外観から付けられた名称で,ギリシャ語のsarkos(肉)に由来する。肉腫には,線維肉腫,粘液肉腫,脂肪肉腫,軟骨肉腫,骨肉腫,平滑筋肉腫,横紋筋肉腫,血管肉腫,リンパ管肉腫などがある。

 

■化膿性髄膜炎とは

髄膜,特に軟膜の炎症。手術後や抵抗力の弱い新生児や乳幼児に好発する。手術後に発生する髄膜炎は比較的予後が良いが,中枢神経が未熟な新生児や乳幼児の場合予後不良とされる。手術後に発生するものは,術中の術野の汚染や創部からの髄液漏れに起因する感染が多いが,感染機序が不明なものも多い。別の部位に感染巣があって血行性に細菌が侵入したり,副鼻腔など中枢神経近傍に炎症があって,直接細菌が侵入する場合もある。

 

発症は,急性で,激しい頭痛,悪寒,持続する高熱,嘔吐を生じる。せん妄などの意識障害,外転神経麻痺,けいれん発作が出現する場合がある。項部硬直,ケルニッヒ徴候などの髄膜刺激症状が見られる。

 

【註】ケルニッヒ徴候(Kernig sign):髄膜刺激症候の一つ。患者を仰臥位にさせ一側股関節を直角に曲げた状態で膝を押さえながら下肢を被動的に伸展していくと,抵抗を感じ下肢が十分伸展しない現象。ケルニッヒはロシアの内科医で,発見者の名前が付けられた。

■髄膜炎の診断

①血液所見
核左方移動を伴う白血球増多,血沈亢進,CRP上昇

②髄液所見

脳脊髄液の圧上昇,細胞数(特に好中球)の増加,蛋白増加,糖減少が見られる。髄液細胞数が3,000/mm3を超えると髄液が混濁して見える。結核菌や真菌による髄膜炎では,30〜500/mm3とより低値で,リンパ球,単球が主体となることが多い。髄液から細菌が同定されれば確定診断となるので,抗生物質投与前に髄液検査を行うべきとされる。高度の頭蓋内圧亢進があるときは脳ヘルニアの危険があり,腰椎穿刺は禁忌となる。

③画像診断

CT,MRIでは髄膜炎は診断できないが,それに合併する脳浮腫や水頭症を診断可能。造影剤投与で髄膜の線状の増強効果が認められる。

■脳塞栓症の診断

塞栓源となる心疾患を有する場合,心原性脳塞栓症と診断する。塞栓源となる心疾患がなく,大動脈や頸動脈に高度狭窄,潰瘍形成,不安定プラークを認める場合,動脈原性脳塞栓症と診断する。

■髄膜炎の治療

起炎菌判明前は,第1〜3世代セフェム系抗生物質の静脈投与,起炎菌判明後,感受性のある抗生物質に切り替える。発熱などの炎症所見,髄液細胞数を指標に治療効果を判断する。治療効果が見られないか,髄液細胞数が10,000/mm3を超えている場合,抗生物質の髄液内投与を検討する。髄液移行性の低いアミノグリコシド系抗生物質が広く用いられる。けいれん誘発性の高いペニシリン系抗生剤は使用すべきではないとされる。ガンマグロブリン製剤が免疫力の改善のため使用されることがある。頭蓋内圧亢進や脳浮腫に対し,高浸透圧利尿薬が用いられる。

■髄膜炎の予後

死亡率は10〜25%。新生児,小児ではさらに高い。成人では,起炎菌による死亡率の差はない。小児では,精神知能障害,脳性麻痺,てんかんなどの重篤な後遺障害を残す場合がある。

■その他の髄膜炎

結核性髄膜炎,真菌性髄膜炎,無菌性髄膜炎がある。無菌性髄膜炎は,殆どはウイルス性であるが,髄腔内に注入した薬剤や造影剤で発症するものもある。

参考文献:標準脳神経外科学 医学書院

■脳塞栓症とは

心臓内や血管内で形成された血栓が遊離し,末梢の脳動脈を閉塞するもので,心原性脳塞栓と動脈性脳塞栓に大別される。心原性脳塞栓症の原因となる心疾患は,非弁膜症性心房細動の頻度が高い。心原性脳塞栓症は,心臓内で形成された血栓や静脈系から遊離した血栓が心臓経由で脳動脈を閉塞して生じる。動脈原性塞栓症の塞栓源は,大血管のアテローム硬化病変である。動脈原性脳塞栓症は,アテローム硬化病変から遊離した血栓が遠位側の脳動脈を閉塞して生じる。

■脳塞栓症の検査

①頭部CT 
超急性期では,梗塞巣は検出されないが,早期虚血性変化を認めることがある。発症から6時間以降で梗塞巣は皮質を含む境界鮮明で比較的均一な低吸収域を示す。

②頭部MRI・MRA

MRI拡散強調画像で,発症から1時間ころから細胞傷害性浮腫が高信号として描出される。灌流強調画像は脳循環低下領域の検出に有用。T2強調画像とFLAIR画像で,発症3〜4時間ころから梗塞巣と脳浮腫が高信号域として描出される。MRAは,主幹動脈の狭窄や閉塞病変の非侵襲的診断に有用である。

③神経超音波検査

動脈原性脳塞栓症の塞栓源となる頸動脈の高度狭窄病変や不安定プラークの検索に有用。頭蓋内内頸動脈の高度狭窄や閉塞例において,頸動脈ドプラ血流測定で障害側の拡張末期血流速度の低下や消失を認める。

④脳血管造影

脳血管の閉塞や狭窄病変の診断に利用される。心原性脳塞栓症では,栓子陰影,閉塞部位の末梢への移動・消失,動脈硬化性変化の欠如が特徴である。

⑤SPECT検査

脳血管閉塞による脳血流低下領域や程度の診断に用いられる。

⑥凝固線溶系分子マーカー

心原性脳塞栓症の急性期や静脈血栓症で凝固線溶系分子マーカー(TAT,D-ダイマー)が高値を示す。

■脳塞栓症の診断

塞栓源となる心疾患を有する場合,心原性脳塞栓症と診断する。塞栓源となる心疾患がなく,大動脈や頸動脈に高度狭窄,潰瘍形成,不安定プラークを認める場合,動脈原性脳塞栓症と診断する。

■脳塞栓症の治療

(1)超急性期〜急性期治療

①抗浮腫療法

頭蓋内圧亢進を伴う大きな脳塞栓に,高張グリセロール10〜12ml/kgを数回に分割し静脈内投与する。

②抗血栓療法

経静脈的血栓溶解療法:発症3時間以内の脳塞栓症で頭部CT上早期虚血性変化を認めないか軽微の場合に適応。症候性頭蓋内出血の危険性を伴う治療法であるため,多くの使用禁忌と慎重投与の基準がある。血栓溶解薬アルテプラーゼ(組織プラスミノゲンアクチベーター)0.6mg/kgを経静脈的に投与する。総投与量の10%を1〜2分かけて静注後,残りを1時間で点滴静注する。

 

抗凝固療法:心原性脳塞栓症で,発症後24時間以降のCT検査で出血性梗塞がないことを確認し,再発予防としてヘパリン1万単位/日の持続静注を行う。動脈原性脳塞栓症では,アルガトロバン(選択的トロンビン阻害薬)60mg/日2日間,以後20mg/日5日間。

 

抗血小板療法:動脈原性脳塞栓症の急性期再発予防として,トロンボキサンチンA2合,ないしアスピリン160〜300mg/日の経口投与。

③脳保護療法

発症後24時間以内の脳塞栓症に対し,抗酸化薬のエダラボン60mg/日を点滴静注。副作用に急性腎不全があるため,腎機能障害がある場合慎重投与。

(2)慢性期治療

心原性脳塞栓症の慢性期再発予防はワルファリンが第一選択で,至適投与量は国際標準率INR2.0〜3.0になるようにコントロールする。INR2.6を超えると出血性合併症が急増するため,70歳以上の高齢者ではINR1.6〜2.6でコントロールする。抗凝固療法が行えない場合や動脈原性脳塞栓症では,アスピリン75〜150mg/日,チクロピジン200mg/日,又はシロスタゾール200mg/日での抗血小板療法を行う。

参考文献:内科学 朝倉書店

■胆石症とは

胆嚢、胆管に胆汁成分由来の結石が存在する頻度の高い疾患である。男女比は、1:1.5で女性に多い。

■胆石とは

胆汁の流れ道である胆道(胆嚢、胆管)に発生した固形物(結石)で、泥状のものを胆泥、砂状のものを胆砂という。胆石の存在部位により、胆嚢結石、胆管結石、肝内結石に分類される。胆石の成分により、コレステロール石、黒色石、ビリルビン石、その他の胆石に分けられる。

■症状

食後30分から2時間の間にみぞおち、右季肋部、右背部が痛むことが多く、20分以上続く強い疼痛である。脂肪食で誘発されることが多い。発熱、嘔気、嘔吐などが起きる。胆嚢炎、胆管炎、肝機能障害、黄疸、膵炎等の合併症を起こす場合がある。なお胆嚢結石の約2/3は無症状である。

■診断法

腹部単純X線撮影、腹部超音波検査、腹部CT、磁気共鳴胆管膵管撮影(MRCP)、点滴静注胆道造影(DIC)、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)等がある。

■治療

①経口胆石溶解療法
ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸等。コレステロール石、15mm以下、石灰化がない、胆嚢機能が保たれている等の条件が揃う場合に効果が得られる。

②内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)

十二指腸カメラを使い、総胆管の出口である十二指腸乳頭を電気メスで切開し、総胆管内にある胆石を取り出す方法。風船を用いて十二指腸乳頭を拡張し、総胆管にある胆石を取り出す方法もある(内視鏡的乳頭括約筋バルーン拡張術[EPBD])。

③体外衝撃波胆石破砕術(ESWL)

適応は、径3cm以下、3個以下、石灰化がないか軽度のコレステロール結石で、胆嚢収縮能の良好な胆嚢結石。

④腹腔鏡下胆嚢摘出術

手術適応は、3cm以上の胆石、膵胆管合流異常、陶器様胆嚢、石化乳胆汁の合併例。萎縮胆嚢、充満結石、胆嚢壁肥厚例も胆嚢癌危険群として手術適応とされる例が多い。

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