2019年5月9日,2018年の医療事故の報告件数が4565件で過去最多と報道されました。年単位の集計を始めた2005年は1265件,その後13年間増え続けています。新聞で報道される医療事故数は,医療機関が日本医療機能評価機構に報告した医療事故数です。医療機関の内訳は,法令により医療事故の報告が義務づけられている大学病院や国立病院機構の病院など274施設からの報告が全体の約9割にあたる4030件,任意で参加する797施設からの報告が535件でした。事故の程度の内訳は,死亡7.3%(293人),障害残存の可能性有り36.3%(1464人)となっています。過去最多といっても事故自体が増えているのではなく,医療安全に対する意識が高まり,報告する医療機関が増えたと考えられます。機構は「医療事故を報告することが定着してきている」と評価しています。
では,全国で1年間にどの位医療事故が起きているのでしょうか。機構に報告義務のある医療機関でも年間約15件,月に1回は医療事故が起きていることになるので各医療施設で月に1回医療事故が起きていると仮定すると,全国に医療施設は17万8937(病院8399,診療所10万1777,歯科診療所6万8761)ありますので(厚生労働省「医療施設動態調査」平成30年2月末概数),215万件程になります。2018年の交通事故発生件数が43万0601件ですので,医療事故の発生件数の方が多そうです。患者が,医療事故から身を守るには,先ず,医療事故は身近に起こり得るという認識を持つことが大切です。