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裁判以外の紛争解決法

医療事故が起きて,患者が病院と話し合いをしたけれど行き詰まってしまった場合,裁判を起こすしかないと思っている方が殆どだと思います。しかし,裁判以外にも医療ADRという紛争解決法があります。ADRは, Alternative Dispute Resolutionの略で,裁判外紛争解決という意味です。第三者が入って当事者間の話し合いによる紛争解決を支援する制度です。東京三弁護士会(東京弁護士会,第一東京弁護士会,第二東京弁護士会)が2007年9月に開設し,その後,札幌,仙台,愛知,京都,大阪,愛媛,岡山,広島,福岡の9つの弁護士会でも実施されています。その他,茨城県では医師会が主催する「茨城県医療問題中立処理委員会」,千葉県にはNPO法人「医療紛争相談センター」が医療ADRを行っています。やり方は場所によって異なります。東京では,医療紛争の経験豊富な弁護士2名(普段,病院側の代理人をしている弁護士,患者側代理人をしている弁護士,各1名)と医療事件と無関係な弁護士の3人があっせん・仲裁人になります。普段,病院や患者の代理人をしていても,あっせん人は当事者双方の話し合いを促す立場ですから,どちらの味方でもなく中立です。むしろ,日ごろ医療事件を扱っている弁護士が関与するため,過失や因果関係の有無が分かりますし,妥当な損害賠償額,裁判になった場合の見通しなどの話もできるので,当事者間の充実した話し合いが可能となります。東京は3つの弁護士会がそれぞれ医療ADRを行っていますが,医療紛争の経験豊富な弁護士のあっせん人名簿は,東京三会で共通なので,どの会に申し立てても変わりありません。第二東京弁護士会の場合,申し立てられた相手方病院へ期日への出席を要請したり,患者本人が申し立てた場合に申立ての整理を行うなど医療ADRの利用をサポートする「手続管理者」と呼ばれる弁護士がいます。              

医療ADRのメリット

医療裁判は時間がかかります。最高裁判所の統計資料によれば,平均審理期間は平成28年で23.2か月,約2年です。これに対し医療ADRの平均期間は6〜7か月,平均期日回数は和解成立事件で4回ほどです(東京三弁護士会医療ADR第二次検証報告書,2016年3月 )。 http://niben.jp/news/info/2016/160426135243.html

医療裁判では,裁判費用,弁護士費用,私的鑑定意見書料,裁判所が鑑定を採用した場合の鑑定費用など費用がかかります。医療行為の過失が争われるケースでは私的鑑定意見書の提出が必要になりますが,患者側が私的鑑定意見書を提出すると病院側からも私的鑑定意見書が提出されるので,それに対する私的鑑定意見書を更に準備しなければなりません。裁判に提出する私的鑑定意見書料は通常最低でも一通30万円以上かかりますので裁判の間に複数の医師に数回作成して頂くとかなりの金額になります。これに対して,医療ADRでも,申立手数料,期日手数料,成立手数料がかかりますが,弁護士を頼まず本人で申し立てることができますし,裁判と異なり私的鑑定意見書がなくても手続きは進められるので裁判より費用は少なくすみます。            

医療裁判では,患者が過失及び因果関係を証明する責任を負っているため,証拠がないとか,協力医がいないか経済的理由から私的鑑定意見書を証拠として提出することが出来ないと負けてしまいますが,医療ADRは話し合いによる紛争解決を支援する手続きなので客観的証拠に基づく証明ができなくても紛争が解決できる場合があります。 

医療裁判では,過失・因果関係・損害額といった法的争点以外問題にしません。患者や家族が,争点以外のところにわだかまりを感じているような場合,本人の気持ちと別に裁判が進み疎外感を感じることがあります。医療ADRでは,法的争点以外に,診療経過,事故状況や病院の事故の再発防止策について説明を求めたり,患者家族の思いを病院に伝えたりすることができます。患者家族は,補償の問題のみならず真相解明,病院側の真摯な反省,事故を無駄にしないよう具体的な再発防止策の構築を希望することが多いです。患者家族が,医療ADRの手続きに自ら参加することで心の整理がつき紛争解決に繋がることもあります。

医療裁判では,裁判官を選べませんが,医療ADRでは,申立人があっせん人名簿の中から希望する弁護士を指名することができます。その場合,相手方の意見を聞いてあっせん人を決めます。

医療裁判は,3審制(3回まで審理を受けることができる制度)ですが,医療ADRには回数制限がないので何度でも申立可能です。 

医療裁判は,裁判を提起できる裁判所が決まっていますが,医療ADRは,他の県で起きた事件を東京の医療ADRに申し立てることが可能です。

医療裁判は,公開ですが,医療ADRは非公開の手続きなのでプライバシーが保たれます。

医療ADRのデメリット

裁判は出廷義務がありますが(書面を出さず全く出頭もしないと,相手の主張を認めたことになってしまう),医療ADRは任意の手続きなので医療機関側が期日に出席しない場合,手続きが進められません。相手方が期日に出席する割合(応諾率)は,66.7%(前掲東京三弁護士会医療ADR第二次検証報告書,2016年3月)で,必ずしも高くありません。医療機関が,医療ADRのことを,過失の有無を判定する手続きだと誤解しているのではないかと思います。医療機関に,医療ADRが,話し合いによる紛争解決を支援する使い勝手の良い制度で紛争の早期円満解決につながることが広まれば,応諾率も徐々に増加することでしょう。実際,医療機関側から,医療紛争の早期円満解決の為,医療ADRを申し立てるケースも増えています。病院が示談を希望し裁判所基準に照らし妥当な賠償額の提案をしているのに,患者の病院に対する不信感から当事者同士の話し合いが進まない場合,医療ADRを利用すると,病院側と同じ内容でも第三者であるあっせん人から説明されれば患者側も病院が妥当な提示をしていることを知り早期解決に繋がることがあります。

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