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医療ミスというと医療裁判を連想しがちですが,病院が過失を認めている場合は,示談が成立し通常裁判にはなりません。では,どういう場合に裁判になるかというと,事故内容と関係のない意外な理由で裁判になることがよくあります。

■裁判を避けたい患者・遺族

医療裁判と言うと多くの方は,患者や遺族の意向で裁判になっているイメージが強いと思います。しかし,実は,患者や遺族が裁判を希望することは殆どありません。患者や遺族が病院に対して望むのは,①真相解明,②謝罪,③真摯な反省に基づく事故の再発防止,④適正な補償,であって一日も早く気持ちの整理をつけ新たな人生を歩み出すため紛争の早期円満解決を最優先に考える方が多いです。医療裁判は,費用も時間もかかるのに勝てる補償がありませんから,むしろ裁判は避けたいという方が殆どです。

■裁判をしたい?病院弁護士

示談交渉を始めるに当たり,病院弁護士と面談をすることが多いのですが,初顔合わせの際,9割以上の病院弁護士から「裁判を起こして欲しい」と言われます。中には患者や遺族の気持ちを逆なでするような発言をして裁判を起こさせようとする病院弁護士もいます。

示談が成立する事件は,病院が当初から早期円満解決の方針であったことを示していますが,病院弁護士が,病院の意向に沿って早期円満解決に協力することは珍しいと言っても過言ではありません。病院は自分の弁護士がまさか患者に裁判を起こさせようとしているなんて夢にも思わないと思いますが,これが現実です。

なぜ弁護士がこんな事をするかというと,示談でまとめるより裁判になった方が着手金が入り利益になるからです。病院弁護士の中には,患者側との示談交渉に一切応じない方針の弁護士がいるので,このような病院弁護士に当たると患者側は裁判をせざるを得なくなります。医療事故が頻発する病院は,病院弁護士に事件を丸投げにすることが多いので,過失が明らかなケースでも示談交渉に応じない方針の弁護士が病院の代理人になると裁判になります。病院はこの実態を知らないので患者に訴えられたと思っているでしょうが,実際は病院弁護士が裁判を起こさせていることがあります。

病院は,医療事故が起きたとき事故原因を検証し事故の再発防止に繋げるとともに,過失が明らかで損害賠償すべき場合には,病院弁護士に対し,早期解決を図る事を明確に伝える必要があります。弁護士任せはNGです。

■賠償額が折り合わないとき

病院が過失を認めているのに裁判になる他の原因は,損害賠償額で合意が出来ない場合が多いです。損害賠償額は,裁判所基準の算定方法があるので計算方法を知っていれば誰が計算してもほぼ同じ金額になります。患者側弁護士は,病院側から裁判所基準に近い損害賠償額が提示されれば示談に応じます。患者・遺族で,時々裁判をした方が損害賠償額が増えると勘違いしている人がいますが,示談でも,裁判でも損害賠償額は変わらないので,病院側から裁判所基準の損害賠償額が提案されているときは裁判をする意味がありません。裁判をすると裁判費用,弁護士の着手金,私的鑑定意見書料など費用がかかるため,かえって損害賠償額が目減りしてしまいますし,裁判の結果,示談交渉段階で病院が提示した額より少ない損害賠償額が認定されることもあります。示談交渉で病院側が裁判所基準額の提案をしたのに患者弁護士が提訴したりすれば裁判官は,「忙しいのに何をやっているのだ!」っと,患者側への印象が悪くなることでしょう。

逆に,病院側が裁判所基準よりの大幅に少ない金額の提案しかしない場合,その金額で患者弁護士が示談をすると患者側から弁護過誤を問われかねないので患者弁護士は示談することができず提訴せざるを得なくなります。

病院が裁判所基準の損害賠償額を提示すれば直ぐ示談がまとまるのに,なぜ少ない額を提示すると思いますか。その原因は,病院弁護士と病院が加入する保険会社にあります。病院は,医師損害賠償責任保険に加入しているので医療ミスが起きて損害賠償をしなくてはならなくなってもお金を払うのは保険会社ですので損害賠償額が幾らかは関係ありません。病院にとって大切なのは,金額ではなく,一日も早く紛争を解決し医師や医療従事者が業務に専念できるようにすることです。しかし,殆どの病院弁護士がこの「病院の利益は何か」を全く理解していません。一般の事件の場合は,加害者側弁護士にとっての依頼者の利益は,損害賠償額を減らすことなので,医療事件でも同じように損害賠償額を減らせば病院の利益になると勘違いしていると思われます。また,患者側からの請求額から減額させた額の何割が弁護士報酬となるため,損害賠償額を減らした方が病院弁護士の利益になります。なるべく損害賠償額を減らしたいのは保険会社も同じですから,医療事件では病院弁護士と保険会社の利害が一致します。

病院が,過失・因果関係ともに認めている場合,損害賠償額が争点となりますが,損害賠償金を支払うのは保険会社ですから,病院対患者の争いではなく病院加入の保険会社対患者の争いになります。患者弁護士は,直接保険会社と交渉することができないため病院弁護士を介して保険会社と交渉します。患者弁護士は,保険会社に損害賠償金を支払わせるため医師意見書,診断書や検査所見等,様々な説得材料を病院弁護士に提供し,病院弁護士から保険会社を説得するよう働きかけるのですが,病院弁護士が病院の利益を理解せず収益を優先して保険会社を説得しなかったり,あるいは保険会社を説得する能力がなければ,損害賠償で折り合えず紛争が長期化します。

医療事件では,示談がまとまるまでに3年以上かかることは珍しくありませんが,病院弁護士が損害賠償額を減らすことに躍起になって駆け引きをすることがなければ必要のない時間です。もし病院弁護士が短期間で裁判所基準額の賠償額の提示をしたら,その弁護士は,紛争の早期解決という病院の利益(これは同時に患者の利益でもありますが)を理解し,己の利益より病院の利益を優先する素晴らしい病院弁護士ということになりますが私が出会えたのはほんの数名です。真に病院の利益を理解する病院弁護士が増えれば医療紛争の多くは早期円満解決できることでしょう。

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