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入院中の窒息死事件③−救急対応できない医師!

気管切開を受けた患者の痰が硬く吸引できない状態が続き,看護師の痰吸引中カニューレが痰で閉塞し,看護師が医師を直ぐ呼んだが医師の処置の遅れから植物状態になった事件です。患者は,70代男性,悪寒・発熱を訴え受診し髄膜炎の診断で声帯不全麻痺が見られたため気管切開を受けました。看護記録を見ると「痰が硬くて吸引できない」,「痰詰まりに注意」と連日書かれ,次第に患者が呼吸困難を訴えるようになり痰の貯留・気道狭窄を示す異音が聴取されている様子が記録されていますが,なんの対策もとられず,気管切開術後7日目,看護師が痰吸引をしたところ痰の塊がカニューレに詰まり窒息してしまいました。看護師は直ぐ当直医を呼びましたが,当直医は気管切開術後7日目だったためカニューレ交換に自信がなく,副直医を呼びました。副直医も直ぐ来室しましたが,やはりカニューレを交換する自信がなく上級医を呼びました。医師が3人揃って5分後に患者の呼吸が停止し心臓マッサージが開始されましたが,カニューレを抜去したのはそれから20分後で,患者は心肺蘇生しましたが低酸素脳症により植物状態になってしまいました。診療録を見ると,カニューレ交換自体はスムーズに行われており,医師が揃った時点でカニューレを交換していれば患者が植物状態になることはなかったケースです。

事故を起こしたのは総合病院で医師が揃っていながらなんで患者を助けられないのかと思います。最終的には示談がまとまりましたが,この事件でも病院側は当初過失を認めませんでした。

分かっていても何もしない看護師!?
この事件の問題点は,気管切開後の管理不足と救急措置の遅れです。看護記録には痰が硬く高粘稠で吸引しても排出できず痰詰まりによる気道閉塞の危険のあることが何度も記録され,事故前には異音がして看護師はカニューレが狭窄していることを知っていましたが,看護師たちは申し送るだけで何の対策もとらず放置しました。もし,気管切開当初からネブライザーで加湿し痰を柔らかくして排出しやすくして痰吸引を行っていればカニューレが痰で詰まることはありませんでしたし,気管切開術後1週間を経過していたのですから,医師に報告し,腕の良い医師のいる日中にカニューレ交換を実施していれば事故は起きず,当直医たちがパニックに陥って救急対応を誤ることはなかったと考えられます。
患者になったときのポイント!?

本来の病気と全く関係のない痰詰まりで窒息死しても病院は過失を認めず補償もされないのですから,患者自身で身を守るしかありませんが,痰吸引は看護師に委ねられているので患者が自分で出来ることは医師・看護師とのコミュニケーションを良好にすることぐらいでしょうか。ともかく注意すべきポイントは,①痰で窒息死することがあること,②特に,気管切開術後1週間以内が危険であることを忘れず,③痰吸引など気管切開後の看護の重要性を認識していない看護師が多いこと,④緊急対応できない医師や看護師がいることを患者が認識することです。最初に紹介したケースのように,看護師に伝言をしても医師に報告しない場合があることを考えると,もし気管切開術後1週間以内に痰が溜まって呼吸困難を感じるようになったら医師に直接対応をお願いした方が良いでしょう。

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