■新聞報道される医療事故件数は氷山の一角!!■ヒヤリ・ハット???医療事故は毎年どの位の件数起きていると思いますか?2013年8月28日の日本経済新聞夕刊に,2012年の事故件数が「医療事故最多2882件」という記事が出ました。そして,2013年の事故件数について,2014年3月27日の日本経済新聞に「医療事故報告3000件越す 昨年,最多更新」という記事が載りました。医療事故が増えているのは分かりますが年間3000件というのは人口から考えると意外と少ないなと思いませんか?
ところが3000件というのは実は,全ての医療事故件数ではありません。新聞で報道されるのは日本医療機能評価機構に事故の報告義務のある大学病院など274施設と任意参加している691施設(2013年の施設数)で起きた事故件数だけなのです。報告義務のある医療機関の施設あたりの年間平均事故件数が約10件であるのに対し,任意で参加している医療機関の事故件数は約0.5件ですから任意参加医療施設は事故の一部しか報告しておらず事故件数を比較的正しく反映しているのは報告義務のある医療施設と考えるのが自然でしょう。
そうすると一施設あたり年間平均約10件程の医療事故が起きているわけですから, 日本全国の医療施設数は約17万7000(病院8500,診療所10万0100,歯科診療所6万8500)なので,仮に各施設が年に10件医療事故を起こしていたとすると年間の医療事故件数は,およそ170万7000件ということになります。もちろん医療事故など起こさない医療機関もたくさんあると思いますから(逆に年間10件ではすまない医療機関もあるかもしれませんが)正確ではありません。しかし,新聞報道される医療事故数がほんの氷山の一角に過ぎないことは分かって頂けたと思います。
ヒヤリ・ハットという言葉をご存知ですか?失敗しそうになってヒヤリとした,ハットしたときの「ヒヤリ」と「ハット」のことで,事故に至らなかったけれど事故に直結する可能性のある事象を言いますが,2013年に日本医療機能評価機構に報告された医療事故のヒヤリ・ハット件数は,医療機関965施設だけで約60万9000件もありました。日本全国の医療施設数でどのくらいヒヤリ・ハットが起きているか換算すると1億件を越えてしまいます。
こうして見てくると医療事故は他人事ではなく,何時誰に起きても不思議ではないと考えた方が良いかもしれませんね。