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歯科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

歯科医師が智歯抜歯の際,破損したタービンパーの破折片を抜歯痕に残置し,患者の下顎部に腫脹などを生じさせたことについては慰謝料が認められたが,抜歯後に患者を診察した別の歯科医師が破折片の存在に気付かなかったことに関しては過が認められなかったケース

 

東京地方裁判所 平成15年(ワ)第227号 損害賠償請求事件
平成15年12月24日判決
【説明義務,問診義務,検査,手技上の過失,残置,損害論】

<事案の概要>

患者(昭和55年生,女性)は,平成12年1月,被告歯科医院において,A歯科医師(大学病院口腔外科勤務。被告歯科医院で月1回程度診療を行っていた)によって,右下埋伏智歯の抜歯を受けた。A歯科医師が抜歯のため智歯を削っていた際,タービン(歯を削る器械)の金属製パーが破折した。A歯科医師は破折片を口腔内から取り除いて抜歯を継続したが,抜歯部を縫合するまでの間に,何らかの原因で,口腔内から取り除いたパーの破折片が抜歯部に入り込んだ。A歯科医師は,破折片が抜歯部に入っていることに気付かず,抜歯部を縫合した。

同年3月ころ,患者は,抜歯部に残った破折片による反応性炎症により,右下顎部に直径10mmほどの腫脹が生じた。患者は,同年4月,被告歯科医院を受診してB歯科医師の診察を受け,B歯科医師は,腫脹の原因として,顎骨炎やリンパ節炎を疑い,口腔内の観察,リンパ節の触診,オルトパントモグラフイー(パントモ)撮影を行った後,患者に対し,下顎腫脹の原因が分からないので,大学病院を受診し,A歯科医師に診察してもらうよう指示し,患者にパントモ写真と診療情報提供書を渡した。

患者は,同年4月,A歯科医師が勤務する大学病院を受診してA歯科医師の診察を受け,A歯科医師は,患者の持参したパントモ写真を見て,右下智歯の抜歯部に金属片らしい異物があることに気付き,その旨を患者に説明した。A歯科医師は,患者が,被告歯科医院で自身が抜歯をした患者であることに気付いていなかった。

患者は,同年4月,A歯科医師の勤務先とは別の大学病院を受診し,タービンパーの破折片を摘出する手術を受けたが,担当歯科医師は,破折片を探り当てることができなかった。患者は,同年5月,2度目の摘出手術を受け,抜歯部からA歯科医師が残置した破折片が摘出された。

患者の右下顎の腫脹は,同年3月末から徐々に増大し,発赤,排膿,圧痛が生じるようになり,破折片摘出後は徐々に沈静化したが,現在も,外観からはほとんど認識できない程度ではあるが,右下顎部に瘢痕が残っている。

患者は,A歯科医師,B歯科医師,被告歯科医院を開設するC歯科医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

1100万円

結  論

一部認容(認容額90万円)

争  点

①B歯科医師に,A歯科医師が混入させた破折片が抜歯部に存在することを認識したにもかかわらず,患者に告げず,医療過誤を起こしたA歯科医師に診察を受けるよう指示したことに説明義務違反があるか否か。仮にB歯科医師が,患者の抜歯部に破折片が存在することに気付いていなかったとすれば,破折片に気付かなかったことが診療上の過失といえるか。
②患者の慰謝料額
※破折片を残置させたA歯科医師の過失については争いがない

認容額の内訳

①慰謝料

80万円

②弁護士費用

10万円

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