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歯科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

歯科医師が,患者が訴える歯痛の原因を歯髄炎と診断して抜髄治療をしなかったことに過失が認めらなかったケース

 

東京地方裁判所 平成13年(ワ)第15731号 損害賠償請求事件
平成15年6月11日判決
【説明義務,問診義務,診断義務,手技,治療方法,時期】

<事案の概要>

患者(昭和11年生,男性)は,平成5年9月から被告歯科医院に通院するようになり,平成6年2月〜4月まで,右上1番2番と左上1番2番の歯を削った上で,セラミックス製の被覆冠(ジャケットクラウン)を被せる補綴的矯正治療を受けた。

患者は,同年5月ころ,被告歯科医院の担当歯科医師に対して,ジャケットクラウンを被せた部分がしみると訴えたが,同年11月に噛み合わせの不調を訴えて被告歯科医院を受診してから平成8年6月まで,被告歯科医院に来院しなかった。

患者は,平成8年6月,左上2番にしみる感じがすると訴えて被告歯科医院を受診し,担当歯科医師は,口内所見などから歯肉炎と診断し,ブラッシング指導を行った。患者は同年12月,冷水を飲むと右上3番に痛みがでると訴え被告歯科医院に来院したので,担当歯科医師は,歯神経由来の痛みである可能性を考え,レントゲン撮影を行い,次回の診察時に症状を確認して措置を検討することにした。

平成9年2月,患者は,右上1番のジャケットクラウンが一部破折したため,破折部分をプラスチック系接着剤(エックス線透過性)で接着する応急措置を受けた。その際,患者が,上前歯の痛みを訴えたため,担当歯科医師は,歯神経に異常がある可能性を考えたが,患者がどの歯が痛むか特定できず,歯肉炎の症状もあったため,とりあえず歯肉炎に対する治療を行い,痛みがとれなければ抜髄治療を行うこととした。平成9年2月に行われたレントゲン検査では,歯髄の異常は認められなかった。

同年4月,患者は,左上1番のジャケットクラウンが一部破折したため,プラスチック系接着剤で接着する応急措置を受けた。患者は,同年4月〜8月にかけて,上前歯4本にピリピリ痛む,しびれる感じがあるなどの症状を訴えたが,異常を訴える歯が特定できず,又,受診の度に異常を訴える歯が変わり,歯肉炎の症状も残っていたため,担当歯科医師は,歯神経の異常を疑いつつも,患者の訴える症状が歯肉炎の症状とも合致し,上前歯4本にう蝕が見られず,患者の訴えでは歯神経に異常がある歯を特定できないので,歯肉炎の治療を優先して行うこととした。

患者は,同年7月,他の医療機関で,右上1番と左上1番2番につき,う蝕のない歯髄炎及び急性辺縁性歯周炎と診断され,同9年8月,左上2番の抜髄を受けた。同年12月には,他の医療機関で,左上1番の抜髄を受けた。

患者は,被告歯科医院を開設する担当歯科医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計7891万0751円

結  論

請求棄却

争  点

①担当歯科医師が補綴的矯正治療を行った際,歯を削りすぎたり注量が少なすぎたりしたことで患者に歯髄炎を引き起こしたか否か。
②担当歯科医師が補綴的矯正治療を行った際,歯を削る方法で矯正することや歯髄炎になる可能性のあることを説明する義務があったか,説明義務がある場合,担当歯科医師に説明義務違反があるか否か。
③補綴的矯正治療の際,患者の歯に適合しないジャケットクラウンを被せた過失があるか否か。
④担当歯科医師が患者の症状を歯髄炎と診断せず抜髄をしなかったことに過失があるか否か。

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