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産婦人科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

担癌状態にある患者について,重症感染症ないし敗血症を疑って検査を実施すべき義務,経管栄養又は中心静脈栄養を実施すべき義務,患者及びその親族に対し癌を告知すべき義務がいずれも認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第10019号 損害賠償請求事件
平成17年12月2日判決確定
【説明問診義務,検査,入院管理】

<事案の概要>

患者(大正12年生,女性)は,昭和36年,子宮癌のため,子宮摘出術及び放射線治療を受けたが,平成2年ころ,放射線治療の晩期合併症として,両側尿管狭窄症から両側水腎症に陥り,腎後性腎不全の状態が進行していた。平成2年5月,甲病院泌尿器科のA医師が患者を診察したところ,両側尿管腸骨動脈交叉部以下の高度の狭窄症により,左腎は無機能腎,右腎は機能低下と診断されたため,A医師の執刀で,左腎摘出術及び右経皮的腎瘻術等が行われた。その後,腎後性腎不全の状態は回復し,同年10月,患者は,甲病院を退院し,患者の長女である被告B医師が勤務し,その夫被告C医師が開設する被告病院(総合病院)に転入院した。被告B医師が,全身状態管理及び尿路感染予防のための腎盂洗浄を行った。患者はA医師の下にも通院し,4〜6週ごとに同医師による腎瘻カテーテル交換が行われた。

患者は,平成12年6月20日,甲病院を受診し,A医師に対し,半年ほど前から不正性器出血があると訴えた。A医師が遺残膀胱をカテーテル洗浄すると出血が認められ,患者の膣を内診すると硬い腫瘤が触れたため,A医師は,甲病院産婦人科のD医師に患者の診祭を依頼した。翌21日,D医師は,患者の子宮癌が再発を考えたが,同年7月19日に検査を行った乙病院の担当医は,子宮癌再発ではなく膣癌で診断した。患者は膣断端から膀胱にかけ浸潤した癌と診断されたが,D医師は,患者が子宮癌のため放射線治療を受けていたことから,さらに放射線治療を施すのは困難であり,化学療法も,単腎で腎機能が低下している患者に行うのは困難であると考え,対症療法を行うこととした。患者は,同年7月ころ,炎症反応を示す白血球数やCRP値が継続的に高値となり,感染症予防のため抗生剤投与等が行われていたが,炎症所見が治まらなかった。患者の体温は特に上昇することはなく,同年10月5日,被告病院入院後も平熱が続いた。患者のは,倦怠感,ふらつき,食思不振を訴えることはあったが,自力歩行可能で,食事も,概ね半分程度は摂取することができていた。

平成13年2月ころ,被告B医師(患者の長女)は,患者の状態が安定しているうちに海外旅行に連れて行きたいと考え,3月23日から患者をスペイン旅行に連れて行った。患者は,帰国後,被台病院に戻り,この時点でバイタルサインに異常はなく,夜間も良眠状態であったが,徐々に旅行前よりも食欲が低下し,病院食を2,3割程度しか摂取しないことが目立つようになった。6月,患者の食欲はさらに低下し,6月中旬には,37度台の熱発を繰り返すようになり,同月13日には,CRP値が上昇するなど,炎症所見の悪化が認められた。患者の容態は次第に悪化し,経口摂取の回数及び量が減少し,自力体動も不可能になっり,白血球数及びCRP値も悪化し,体動時には疼痛を訴えた。被告B医師は,8月1日から,連日毎朝1回点滴を行い,9月6日からは毎夕点滴を行うようにした。しかし,患者の体温は37.0度前後で推移しており,腎機能も透析が必要な程度ではなく,尿量も,10月8日まで,概ね乏尿とはいえない程度で,尿比重も特に異常値を示すことはなかった。ところが,10月10日,患者の尿量減少が大きくなり,翌11日午前O時以降,尿量がなくなり,同日午前10時52分,患者は死亡した。

患者の長男が,姉である被告B医師及びその夫である被告C医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

主位的請求 1530万8044円
予備的詰求  300万0000円

結  論

請求棄却

争  点

①平成13年6月以前に,月1回の細菌検査及び胸部X線検査を実施すべきであったか。
②同年6月19日以降,細菌検査,胸部X線検査及び血液生化学検査を実施すべきであったか。
③同年5月以降,経管栄養又は中心静脈栄養補給を実施すべきであったか。
④長男及び患者への癌告知の有無並びに癌告知に関する義務違反の有無

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