光樹(こうき)法律会計事務所 医療事故・医療過誤の法律相談 全 国 対 応 電話相談可

お問合せ
平日10:30~17:00
03-3212-5747
医療過誤 医療事故 弁護士68.png

産婦人科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

分娩誘発の適応がないのにこれを行った過失及び出生後の児に対する気管内挿管の手技上の過失が認められたが,過失と臍帯脱出ないし児の死亡との間の因果関係が認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第6862号 損害賠償請求事件
平成17年6月29日判決 確定
【手技,適応,治療方法ー時期,因果関係】

<事案の概要>

患者は,平成13年1月26日,被告医院(個人医院)を受診し,妊娠と診断され,同年2月14日に出産予定日を同年9月10日であると診断された。患者は,被告医院に通院していたが,8月27日になっても内診所見が進んでいなかったため,被告医師(産婦人科)は,9月3日までに自然陣痛が来なければメトロイリーゼを行うこととした。9月13日午前10時ころ,被告医師が患者を内診したところ,ビショップスコアで1,2点しかない状態で,8月27日からほとんど進展がなかったことから,子宮頸管熟化不全と判断し,患者を入院させ,子宮腔内にオバタメトロを挿入した。同日午後1時ころ,被告医師が内診したところ,陣痛はあったが,子宮口の開大が進んでおらず,微弱陣痛と判断し,オキシトシンの点滴を開始し,午後1時45分ころから午後4時10分ころにかけて,オキシトシンを増量し,陣痛促進を図った。午後4時10分ころ,被告医師が内診をしたところ,オバタメトロが膣内に脱出していること(コルポの状態)を確認した。午後6時46分ころ,担当医師は,オバタメトロを抜去し,内診指を膣内に挿入したところ,いきなり多量の羊水とともに拍動する索状物が出てきたので,臍帯脱出と判断し,すぐに臍帯還納を試みたが成功しなかった。被告医師は,患者を分娩室に搬入して酸素を投与し,A医師(小児科医)ほか,院内の職員に集まるよう指示したが,帝王切開手術を介助した経験のあるB准看護師が在院していなかったため,B准看護師を含む非番の看護師に連絡をとるよう指示するとともに,帝王切開手術や新生児蘇生の準備をするよう指示した。午後7時ごろ,近医に応援を依頼するとともに,臍帯還納術を試みたが成功しなかった。用手的に子宮頸管の開大を図ったところ,午後7時10分ころ,子宮口はほぼ開大となった。このころ,近医から来院できない旨連絡があり,担当医師は吸引分娩を施行することを決め,臍帯を保護しながら吸引したが娩出できなかったため,A医師によるクリステレル圧出法を併用した上で,さらに2度吸引分娩を試みたが成功しなかった。午後7時20分,臍帯の拍動が弱くなり,被告医師は,B准看護師が到着していなかったが,帝王切開手術の施行を決め,午後7時29分ころ,手術を開始し,直後に児を娩出した。被告医師は,その後,胎盤を剥離し,子宮を縫合して止血しようとしたが,出血が激しく縫合に手間取り,手術開始後10分ほどして到着したB准看護師の介助でようやく縫合を終えた。出血量は,推定で約1000ml以上で,輸血が800ml行われた。

児の出生1分後のアプガースコアは1点であった。A医師は,児の娩出後,直ちに鼻腔等の吸引を行った後,酸素マスクによるマスク・バッグで換気を行い,心マッサージを開始し,5分経過したころ,心拍は100程度に回復したが,心マッサージを止めるとすぐに100を切る状態で,午後7時45分ころ,母子センターに出動を要請した。A医師は,30分ほど心マッサージやバギングを続け,気管内挿管をした。午後8時20分ころ,母子センターのC医師が被告医院に到着し,児を診察したところ挿管チューブが14cmの深さであったことから,10㎝に固定し直した。その後,児は甲病院に搬送されたが,同年10月2日,低酸素性虚血性脳症により死亡した。

患者及びその夫は,被告医院を開設する被告医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計6551万7854円

結  論

請求棄却

争  点

①本件出産に,分娩誘発の適応があったか否か。

②臍帯脱出後の被告医師の対!応について
(1)午後6時46分ないし52分の時点で帝王切開手術を決定し,直ちに手術を開始すべきであったか。
(2)吸引分娩及びクリステレルを施行すべきではなかったか。

③気管内挿管について
(1)児に対して,出生直後から気管内挿管を実施すべきであったか。
(2)気管内挿管について手技上の過失の有無

④被告医師ないしA医師の過失と児の死亡との間の因果関係の有無

医療事故・医療過誤(医療ミス)について法律相談をご希望の場合には,『医療事故調査カード』をダウンロードし,必要事項をご記入の上,当事務所宛にご郵送ください 担当弁護士が内容を拝見した後,ご相談日をご連絡いたします 電話相談も可能です

 歯科・精神科・美容のご相談は受け付けておりません

光樹(こうき)法律会計事務所 

〒100-0005 東京都千代田区丸の内2丁目5番2号 三菱ビル9階 969区

※丸ビルの隣、KITTEの向かい

TEL:03-3212-5747(受付:平日10:30~17:00)

F A X  :03-3212-5740

医療事故・医療過誤(医療ミス)についての法律相談をご希望の場合には、下記『医療事故調査カード』をダウンロードし、必要事項をご記入の上、当法律事務所宛にご郵送ください。なお、歯科・精神科・美容相談は受け付けておりません

※担当弁護士が内容を拝見した後、ご相談日をご連絡いたします。