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産婦人科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

死胎児の分娩目的で被告病院に入院した患者が,分娩後の出血により死亡したことについて,MAPの投与を怠ったなどの過失が認められなかったケース

 

東京地方裁判所 平成15年(ワ)第5652号 損害賠償請求事件
平成17年6月10日判決 控訴
【治療方法・時期】

<事案の概要>

患者(昭和35年生,女性)は,平成14年6月14日(妊娠35週6日),胎動の減少及び腹緊を訴えて被告病院(総合病院)の産婦人科外来を受診し,超音波断層検査の結果,子宮内胎児死亡と診断され,死胎児の分娩目的で被告病院に入院した。同月15日土曜日9時40分ころ,A医師は,患者の陣痛誘発を開始し,患者は,15時7分,男児を死産した。A医師は,分娩直後,臍下一横指に子宮底を触れたが,硬度はやや良であった。15時13分,胎盤が娩出され,胎盤娩出時に,50gの出血があり,A医師が子宮内腔を確認したところ,胎盤卵膜遺残,凝血塊,完全子宮破裂は認められず,臍下一横指に子宮底を触れ,硬度は不良であった。A医師は,15時35分,会陰裂傷の縫合を終了したが,会陰縫合時,420gのどす黒く,さらさらした出血が認められた。A医師は,その場で採血を行い,自ら緊急検査室で血液検査を行った。血液検査の結果,白血球数11700,赤血球数413万,Hb値11.1g/dl,Ht値33.3%,血小板数17.6万/μlであった(15時で検査室の業務は終了しており,血液凝固系の検査は行われなかった。)。15時40分,A医師が,患者の下腹部を触診したところ,子宮底が臍下二横指に触れ,子宮収縮は良好で,この時点までの総輸液量は,左前腕から5%ブドウ糖液600mlであった。15時43分,A医師は,来室したB医師とともに超音波検査等の検査を実施し,子宮内胎盤遺残,腹腔内出血,頸管裂傷はなく,触診の結果,子宮体部の収縮は良好であったが,650gの出血が認められた(総出血量1120g)。C医師が来室し,担当医師らは,へスパンダー500mlの点滴,MAP輸血の準備,FOYの点滴投与を行った。患者の意識は清明で,バイタルサインに特段の異常は認められなかったが,出血傾向は改善せず,16時10分,子宮収縮不良となり,16時16分,尿道にバルーンカテーテルを挿入留置したところ,肉眼的血尿が認められた。担当医師らは,患者を甲病院(大学病院)へ搬送することとし,17時00分,患者は救急車で搬出された。搬送中も含め,被告病院で行われた輸液総量は,左前腕,左手背,右手首(FOY,メテナリンを除く)の3ルートから,5%ブドウ糖液1300ml,ヘスパンダー500ml,ヴィーンF800ml,ラクトリングル300mlの合計2900mlで,出血総量は2482gであった。

17時15分,患は甲病院に到着し,到着時のバイタルサインは,血圧91/66,脈拍173,呼吸数28/分,Sp02測定不能で,問いかけには開眼した。甲病院の医師らは,DIC及び重症の出血性ショックと診断し,MAP3単位,新鮮凍結血漿(FFP)1単位を投与したが,出血傾向は収まらず,子宮全摘術,子宮動脈塞栓術も考慮されたが,DIC傾向が強く外科的処置が危険な状態であったため実施されず,患者は,翌16日2時04分,DICを原因とする出血性ショックで死亡した。

患者の家族(夫及び子ら)は,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計9260万円

結  論

請求棄却

争  点

①出血の原因(弛緩出血か否か)
②出血に対するMAP投与義務の有無
③出血に対する輸液措置の適否

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