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産婦人科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

単純子宮全摘術及び両側付属器切除術の適応,手技,説明義務違反が争われ,いずれの過失も認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成14年(ワ)第11987号 損害賠償請求事件
平成16年2月25日判決
【説明義務,問診義務,手技,手術適応】

<事案の概要>

患者(昭和25年生)は,被告病院(総合病院)のA医師(産婦人科)から子宮筋腫で子宮が新生児頭大に腫大し,卵巣腫瘍の可能性があって手術が必要との診断を受け,平成11年11月11日,被告病院に入院した。

被告病院のB医師(産婦人科,平成11年5月まで研修医)が主治医,A医師がB医師の指導医として患者の診察に当たった。A医師は,患者に対し,単純子宮全摘術及び片側付属器(卵巣と卵管)切除術を実施する旨説明していたが,B医師は,年齢的に閉経の近い本件患者にとって,片側付属器を残して女性ホルモンの分泌を維持するメリットよりも,両側付属器を切除して卵巣癌等になるリスクをなくしてしまうメリットのほうが大きいと考え,両側付属器切除術のメリット,デメリットを患者に説明し,両側付属器切除術に変更する旨の患者の同意を得た。

平成11年11月15日,B医師を執刀医,A医師を助手として,患者に対し,単純子宮全摘術及び両側付属器切除術が実施され,患者は同月29日被告病院を退院した。患者は,退院後,被告病院に外来通院し,のぼせ,発汗等の更年期障害の出現に対し女性ホルモン療法を受けたが更年期障害は続いた。

平成14年2月,患者は,手術で開腹した辺りに違和感を感じ,甲病院(国立基幹病院)を受診したところ,術後腹壁瘢痕ヘルニアであるとの診断を受け,同年5月2日,甲病院で術後腹壁瘢痕ヘルニア根治術を受けた。

患者が被告病院を開設する地方公共団体に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

1100万円

結  論

請求棄却

争  点

①被告病院担当医師は,患者の子宮筋腫が本件手術を要するほどの大きさでなかったにもかかわらず,超音波検査も行わないまま,手術適応があると誤診し,実施したのか否か。
②被告病院担当医師は,本件手術を実施するに際して,摘出箇所を完全に縫合し,その部位からヘルニアを起こすことがないよう注意すべき義務があるにもかかわらず,これを怠り,漫然と不完全な縫合をしたか否か。
③被告病院担当医師は,患者に対し,手術に先立ち,子宮筋腫の状態,手術の必要性・理由,手術以外にも選択可能な治療法があること,術後合併症として腹壁瘢痕ヘルニアが生じ得ることなどを説明し,手術後には,どのような手術であったか,筋腫の状態がどうであったかなどを説明すべき義務を負っていたにもかかわらず,説明を怠ったか否か。

判  断

①片側付属器切除術,両側付属器切除術いずれもメリット,デメリットがあり,患者には,両側付属器切除術の適応があったと認められ,手術適応の判断を誤った過失は認められない。
②患者の腹壁瘢痕ヘルニアは、術後1か月以上経ってから発症したものであり、かつ、患者には腹壁瘢痕ヘルニアを発症しやすい要因(女性,肥満)があったことからすれば、患者の腹壁瘢痕ヘルニアは患者の要因により発症したものと考えられ,担当医師が不適切な縫合を行ったとは認められない。
③説明義務違反はない。

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