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産婦人科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

出産の際,臍帯脱出の兆候が認められたにもかかわらず,直ちに帝王切開に踏み切らなかった過失及び臍帯脱出の原因となる不適切な散歩指示をした過失が認められず,説明義務違反も認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成14年(ワ)第3546号 損害賠償請求事件
平成15年5月28日判決
【説明義務,問診義務,治療方法・時期】

<事案の概要>

患者(女児)の母親は妊娠し,平成12年3月21日から,担当医師の開設する被告医院(産婦人科,個人病院)で定期的に検診を受け,母児ともに順調に経過していた。母親は,妊娠38週3日目の同年11月8日午後10時15分ころ,被告医院で破水の診断を受け入院となった。翌9日になっても陣痛が起こらなかったため,担当医師は,母親に陣痛誘発のため散歩を指示した。同日午後10時ころ,陣痛が始まり,看護師が母親に胎児心拍陣痛図(CTG)を装着したが,胎児心拍数に問題はなかった。

同月10日午後1時21分ころ,CTGの胎児心拍数が突然60から80bpmまで低下したため,助産師は,母親に酸素マスクを装着するとともに,胎児の徐脈が,臍帯が子宮内で胎児と子宮壁の間で圧迫され血流が妨げられていることによる可能性があったため,母親の体位を変換して圧迫の除去を試みた。助産師から連絡を受けた担当医師が駆けつけ,直ちに内診したところ,子宮口から膣内に臍帯が10cmほどの環状になって脱出しており(臍帯脱出),臍帯が児頭と子宮口の間で圧迫され血流が妨げられ胎児心拍が悪化していることが判明した。

担当医師は,脱出した臍帯を子宮内に入れて還納しようとしたが,再脱出したため,午後1時30分ころ,緊急帝王切開術実施を決定し,大学病院医局に電話をして緊急の応援医の派遣を要請するとともに,助産師や看護師らに対し,手術室や手術器具の整備,母親に対する子宮収縮抑制剤の投与と点滴のための血管確保等を指示した。

その後も胎児心拍数は回復しなかったため,担当医師は,胎児の生命の危険を考え,帝王切開よりも吸引分娩に切り替えることを決意し,午後1時50分ころ,児頭に吸引カップを装着して吸引し,助産師が母親に対し,クリステレル娩出法を実施したところ,2回の吸引により,午後2時ころ,胎児を娩出した。大学病院から派遣された応援医2名が到着したのは,午後2時ころであった。

出生した胎児(患者)の生後1分及び5分のアプガースコアはいずれも1点で重症仮死であった。担当医師は,応援医の協力を得て,心臓マッサージ,気管内挿管等により,蘇生術を実施し,その後,甲病院に患者を搬送した。

患者は,分娩中の臍帯脱出により,全身チアノーゼ,無呼吸などを伴った低酸素性脳症の症状を呈する重篤な仮死状態で出生し,低酸素性虚血性脳症を原因とする重度脳性麻痺,精神発達遅滞,てんかんの障害を負い,寝たきりの状態で全介助を要し,身体障害者障害等級2級の認定を受けた。

患者及び両親は,被告医院を開設する担当医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金

合計1億1058万2580円

結  論

請求棄却

争  点

①11月10日午前11時ころ臍帯脱出の兆候が認められたにもかかわらず,直ちに帝王切開に踏み切らなかった過失ないし注意義務違反の有無
②同日午後1時21分ころに臍帯脱出が起こった時点で帝王切開術を直ちに実施しなかった過失ないし注意義務違反の有無
③臍帯脱出の原因となる不適切な散歩を指示した過失ないし注意義務違反の有無
④説明義務違反

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