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産婦人科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。
妊婦に対し,入院の上検査を受けさせる義務は認められず,帝王切開を選択した時期に過失は認められず,説明義務違反も認められなかったケース
東京地方裁判所 平成14年(ワ)第1401号 損害賠償請求事件
平成15年2月28日判決
【説明義務,問診義務,検査,治療方法・時期】
<事案の概要>
患者(平成9年及び12年に出産した経産婦)は,平成12年11月28日,被告病院(総合病院)を受診し,妊娠しており,出産予定日が平成13年6月30日ころとの診断を受け,1か月に1回程度の頻度で被告病院に外来通院していた。
患者は,分娩週数31週5日の同年5月3日午後5時過ぎ,下着が濡れるほど水が出たため,午後6時ころ被告病院に電話をしたところ,すぐ来院するよう指示され,午後6時30分ころ,被告病院を受診し,A医師(産婦人科)の診察を受けた。患者は,体温36.9℃,血圧111/67,脈拍79であった。患者は,A医師の問診で,水が出たのは1回で,腹部の張りはなく,胎動は良いと回答した。膣鏡診で膣内を診察したところ,帯下と判断される白色,中等量の膣内容物が認められたのみで,羊水流出を推測させる所見は認められなかった。BTB検査を2回実施したが陰性であった。内診で,不正性器出血は認められず,外子宮口は閉鎖していたが,児頭はやや下降していた。約1分間程度の触診の結果,患者の腹部には子宮収縮自体認められず,患者の腹部は,切迫早産で子宮収縮を起こしている時に通常子宮が呈するような硬さもなく,軟らかい状態であった。経膣超音波検査では,経管長は19mmと短縮し,児頭の高さはST-2とやや下降していた。
A医師は,破水は否定的と判断し,患者に安静を指示して帰宅させた。
患者は,翌5月4日午前3時ころ破水したと訴えて,午前9時50分ころ,被告病院を受診し,B医師(産婦人科)の診察を受けた。B医師は,患者に,分娩監視装置を装着し,胎児頻脈(基線190〜200)及び軽度の子宮収縮を認めた。B医師は,膣鏡診で,膣内に淡黄緑色の液体を認め,BTB検査及びアムニテストを実施したところいずれも陽性であり,破水と判断し,これらの所見から,患者が切迫早産の状態にあると診断した。羊水はわずかに混濁し,患者の体温は36.9℃,血圧は104/68であった。その後,30分に及ぶ持続性頻脈があったことから,B医師は,午前10時20分ころ,子宮内感染を疑い,午前10時25分ころ,患者に対し血液検査を実施し,帝王切開の可能性を考えて,患者に絶飲食を指示した。
午後0時13分ころ血液検査結果が出て,白血球数21100,CRP値3.9と感染を示す値が出たため,B医師は,子宮内感染を理由とする緊急帝王切開手術を決定し,患者らに説明し同意を得た。
B医師は,休日であったため自宅待機していた麻酔医を呼び出し,手術室の準備をし,午後1時15分ころ患者を手術室に入室させ,午後1時46分に手術を開始し,午後1時50分に児を娩出した。
児は,同日午後9時42分,肺炎球菌による子宮内感染に起因する呼吸不全及び脳内出血により死亡した。
患者が,被告病院を開設する地方公共団体に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。
請求金額 | 7391万4630円 | ||||
結 論 | 請求棄却 | ||||
争 点 | ①平成13年5月3日の受診時,患者を入院させ必要な検査(頸管分泌液の細菌培養検査,子宮底を圧迫し羊水流出の有無を確認する検査,羊水の胎児由来細胞の確認,患者の白血球,CRP等の血液検査超音波による推定体重計測や羊水ポケット計測等)を行わなかった過失の有無 |
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