過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 産婦人科 大阪地判平成16年3月22日判決

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産婦人科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

 

陣痛促進剤の使用方法を誤った過失及び分娩監視装置による監視を怠った過失がいずれも認められたケース

 

大阪地方裁判所 平成14年(ワ)第8040号 損害賠償請求事件
平成16年3月22日判決
【検査,治療方法,時期,監視義務違反,因果関係】

<事案の概要>

母親は,第3子を妊娠し,平成10年末ころから,被告医院(整形外科・産婦人科を診療科とする病院)で定期的に検診を受けていたが,母親・胎児とも順調で胎児に先天的な疾患等の指摘はなかった。

 

母親は,妊娠39週2日目の平成11年5月14日午後5時40分ころ,被告医院を受診した。担当医師は,母親に分娩監視装置を装着し,午後5時40分から午後5時50分まで,子宮収縮の状態及び胎児の心拍数を監視したところ,陣痛周期8分,子宮口7.5cm開大,児頭下降度+1,頚管展退70%を認め,既に陣痛が開始しているが,陣痛微弱であると診断して直ちに人工破膜を行うとともに,午後6時母親を入院させ,直ちに陣痛促進剤プロスタルモンEを投与した(1回で2錠服用したか争いあり)。母親が被告医院入院した後,午後7時40分ころまでの問,分娩監視装置による継続的監視はなく,この間,担当医師自ら直接母親を診察したことはなかった。午後7時15分ころ時点で,陣痛周期は5分であった。助産師は,午後7時40分ころ,母親の子宮口開大8cm,陣痛周期が2,3分になったため母親を分娩室に移したが,午後8時25分ころまで,子宮収縮の状態及び胎児心拍数につき,分娩監視装置による継続的監視がなされず,担当医師が直接母親を診察したこともなかった。

 

助産師が午後8時20分ころドップラーで胎児心拍数を確認したところ,胎児心拍数が不安定であったので担当医師に報告した。担当医師は,内診で子宮口9cm開大,児頭下降度+2を認め子宮収縮の状態及び胎児心拍数を継続的に監視する必要があると考え,午後8時25分ころ,母親に監視装置を装着したところ,胎児心拍数が50から160までの間を繰り返し上下しており,その後も60ないし80程度への低下が繰り返された。

 

担当医師は,胎児心拍数の所見から,胎児が危険な状態に陥っており,早く娩出する必要があると判断し,午後8時40分ころ,吸引分娩の準備に入り,午後8時45分ころ,陣痛促進剤アトニンの点滴投与を開始し,午後8時48分1回の吸引分娩で,患者(女児)を娩出した。

 

患者は,出生時体重3096gで,心拍数は問題なかったが,生後1分経っても泣かない等の新生児仮死の状態であった。担当医師は,分娩時の胎児心拍数の低下及び出生後の患者の状態から,一刻も早く小児科医の診療を受けさせる必要があると判断し,午後9時7分,甲病院に電話し,小児科医の同乗するドクターカーの派遣を要請した。甲病院の小児科医は,午後10時に被告医院に到着し,直ちに患者を診察し,筋緊張の強さから,患者が既に痙攣を起こしていると診断し,抗痙攣剤を静脈注射した後,患者をドクターカーで甲病院に搬送した。患者は,搬送中,痙攣を断続的に起こし,セルシンが追加で静脈注射されたが,痙攣を十分に抑えることはできなかった。

 

患者は,甲病院で診療を受け続けたが,精神運動発達遅滞の後遺障害を負った。

 

患者が,被告医院を開設する法人に対し損害賠償請求訴訟を提起した。

 

請求金額

2億円

結  論

一部認容(認容額 1意3477万1733円)

争  点

@陣痛促進剤の使用方法を誤った義務違反の有無
A分娩監視装置による監視を怠った義務違反の有無
B新生児仮死状態の患者に適切な措置を行わなかった義務違反があるか否か
C後遺障害発生の機序及び因果関係

認容額の内訳

@介護費用

5743万0560円

A逸失利益

4134万1173円

B後遺障害慰謝料

2700万0000円

C弁護士費用

900万0000円

 

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