過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 耳鼻咽喉科 東京地判平成17年10月24日判決

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耳鼻咽喉科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

 

患者が,急性喉頭蓋炎で死亡したことについて,担当医師に,患者に対する監視措置の過失が認められたケース

 

東京地方裁判所 平成16年(ワ)第5893号 損害賠償請求事件
平成17年10月24日判決 控訴
【入院管理,治療方法・時期,因果関係】

<事案の概要>

患者(昭和25年生,男性)は,喉の痛みを訴えて,平成15年9月16日,近医を受診し,抗生物質等を投与されたが,症状が改善しなかったため,同日午後7時24分ころ,被告病院(公立病院)の救急外来を受診した。同病院の当直医であったA医師(耳鼻咽喉科)が患者を診察し,喉頭ファイパースコープによる検査を実施したところ,喉頭蓋に浮腫状の腫脹が認められた(披裂部の腫脹はなく,気道は3分の1程度狭窄していた。)ため,急性喉頭蓋炎と診断し,緊急入院を指示した。A医師は,患者に,ステロイド剤及び抗生物質を点滴投与し,看護師に対し,患者に酸素飽和度モニターを装着すること,ギャッチアップ30度の姿勢で安静とすること等を指示し,指示箋に,酸素飽和度が85%未満になったら,酸素投与を開始し,ドクターコールをするとの指示事項を記載した。午後8時30分ころ,患者は処置室から病室に移動し,点滴投与が開始された。患者は,午後9時ころ,入院時に37.6度であった体温が39.3度に上昇し,午後9時30分ころには咽頭の痛みを訴え,左側頸部に腫脹が認められたが,看護師は,酸素飽和度の数値を確認したのみで,体温や血圧・脈拍の計測をせず,A医師に患者の状況を報告しなかった。午後10時10分ころ,看護師が訪室した時には,点滴は終了し,患者は左側臥位の姿勢で眠っており,吸気性喘鳴はなかった。患者の酸素飽和度は,90%台の後半で安定していた。午後10時30分ころ,患者からナースコールがあり,看護師が訪室したところ,患者は,ベッドに座って唾液や痰を出そうとしており,吐きながら苦しそうに呼吸しており,酸素飽和度は,92%であった。看護師は,痰を喀出しやすいよう患者の背中をタッピングしながら,応援の看護師を呼ぶためナースコールをした後,廊下にいた看護師に酸素投与と吸引の準備を依頼した。患者の酸素飽和度は,その間に,87%に低下し,応援の看護師が到着したときには,65%から57%に急激に低下したため,看護師はA医師の来室を要請したが,午後10時35分ころ,A医師が病室に到着した時には,患者の意識は既に消失し,体動が全くない状態で,酸素飽和度モニターの数値は読み取れない状況であった。A医師は,気管内挿管を実施するため,喉頭鏡で喉頭蓋を観察しながら気管内挿管を試みたが,喉頭蓋が高度に腫脹して挿管困難であったため,A医師は,挿管を断念し,気道を確保するためトラへルパーを挿入しようとしたが,これも失敗した。そこで,患者の気管に18ゲージ注射針を穿刺し,緊急に気道を確保した上,新たなトラヘルパーを挿入し,頸部外切開による緊急気管切開術を施行し,切開部に小児用気管チューブを挿入し,アンビューバッグによる酸素投与・換気を開始した。患者の自発呼吸は再開せず,脈拍も触知不能であったため,心臓マッサージが施行され,看護師に昇圧剤の静脈注射が指示された。午後10時50分,緊急気管切開術施行の事態に備えて自宅待機していたB医師(耳鼻咽喉科)及び当直医であったC医師(内科)が病室に到着し,この時点で心電図モニター上,心拍波形は徐脈を示していたが,B医師が右橈骨動脈と右鼠径部で脈拍を確認すると,微弱な脈拍を触知することができた。午後11時ころ,患者に対し,人工呼吸器が装着され,心臓マッサージ,昇圧剤の静脈注射,強心剤の投与等がされたが,患者の意識は回復せず,午後11時30分ころ,心停止に至り,患者は,9月17日午前1時33分に死亡した。

 

患者の家族(妻及び子2名)が,被告病院を開設する地方公共団体及びA医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

 

請求金額

合計1億4027万7859円

結  論

一部認容(認容額合計8154万4787円)

争  点

@A医師に,患者を常時医師及び看護師の十分な監視下に置き,不測の事態を回避すべき義務違反があったか。
AA医師の過失と患者の死亡との間の因果関係の有無

認容額の内訳

@逸失利益

4701万4787円

A死亡慰謝料

1500万0000円

B治療関係費

3万0000円

C葬儀費用

150万0000円

D患者の家族固有の慰謝料

各500万0000円

E弁護士費用

300万0000円

 

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