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耳鼻咽喉科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

扁桃摘出術,アデノイド切除術後,呼吸停止し低酸素脳症に陥った患者について,担当医師らに,高次医療機関への転送義務違反が認められたたケース

 

東京地方裁判所 平成15年(ワ)第2092号 損害賠償請求事件
平成17年2月17日判決 控訴
【入院管理,治療方法・時期,転医義務,因果関係,損害論】

<事案の概要>

患者(平成4年生,女性)は,ダウン症と診断され,甲クリニックのA医師から育児指導を受けていた。患者の両親が,A医師に,患者がいびきをかくことや言葉が遅れていることなどを相談したところ,被告診療所のB医師を紹介された。患者は,平成9年10月14日,被告診療所において,B医師(被告診療所院長)執刀,C医師(乙病院〔大学病院〕麻酔科)麻酔担当による扁桃摘出術,アデノイド切除術等を受けた。手術は,同日午前9時55分ころC医師が麻酔を開始した上で,同日午前10時05分ころ開始され,午前10時36分ころ終了し,午前10時45分ころ,気管内チューブが抜去された。術後,患者は,病室に戻され,D看護助手が患者の経過観察を担当した。D看護助手は患者の口腔内出血を発見し,圧迫止血しようとしたが,患者が嫌がって動き,圧迫止血できなかった。その後,何らかの原因で,患者が呼吸停止に至り,病室で付き添っていた患者の母が患者を抱き上げた。D看護助手は,一度手術室に患者の呼吸停止を告げに行った後,手術室に患者を運び,C医師に引き継いだ。患者は,手術室に運ばれた時点で,全身にチアノーゼが見られ,C医師は,患者の呼吸状態を確認した上で気管内挿管を実施し,パルスオキシメーターを装着したが,脈が微弱だったため心臓マッサージを数回実施したとごろ,患者の自発呼吸が回復した。心肺蘇生の際,C医師は,アシドーシスの補正等のために,メイロン,ラクテック,プレドニンを点滴投与した。患者が手術室に運ばれてから自発呼吸を回復するまでの時間は2分程度であった。パルスオキシメーターを装着した時点の動脈血酸素飽和度(Sa02)は70%台で自発呼吸回復後,酸素投与をした段階では,100%近くまで回復し,全身のチアノーゼも改善されていた。患者の意識は回復しないままであったが,時折体動が見られ,同日午後2時30分ころには,激しい体動が見られ,C医師は抜管し,B医師が気道確保のためエアウェイを入れた。C医師は,患者の意識が戻らず,出血も続くため,出血点確認のために,同日午後8時35分,麻酔導入をし,B医師の執刀で,出血点の確認と出血しそうな部位の結紮を行い,同日午後9時55分,麻酔を終了したが,実際には出血はなかった。同日の夜から翌朝まで,准看譜師が患者の母と一緒に,患者に付き添ったが,患者は自発呼吸は見られたが意識が回復せず,翌15日朝,C医師が被告診療所に行った際も,患者の意識が戻っていなかったため,集中管理が必要であると判断し,午前10時ころに乙病院に転送した。

患者は,乙病院で低酸素脳症と診断された。乙病院入院後2週間の時点で,患者の意識レベルは,GCS(Glasgow Coma Scale)でE4(自発的に開眼する),V2(理解不明な音声),M3(異常屈曲)で固定し,症状も固定して中心静脈栄養から経管栄養へ移行したことから,平成10年2月9日,リハビリテーション目的で,丙病院へ転院となり,同年5月8日まで入院した。患者は,丙病院入院時点で,頸定なく,自力移動や座位の保持ができず,痙直型四肢麻痺の状態であった。

患者及び患者の両親が,B医師及び被告診療所を経営する法人(代表者B医師)に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計1億4958万8130円

結  論

一部認容(認容額合計5518万1167円)

争  点

①患者の低酸素脳症の原因
②術後,B医師が自ら又は看護師に厳重な経過観察を行わせ,創部からの出血を確認し,異常があれば直ちに医師に連絡するよう指示すべきであったのに,これを怠ったため,D看護助手が勝手に圧迫止血を行ったか否か。
③B医師は,患者に呼吸障害,意識障害が生じた段階で,高次医療機関に転送するべきであったか否か。
④D看護助手は,患者の口腔内から出血を認めた場合,医師の観察処置を待つべきであったのに,自らの判断で圧迫止血を行って,舌根沈下により患者を窒息させたか否か。
⑤患者らの損害及び損害額

認容額の内訳

①逸失利益

598万7372円

②介護費用

2919万3795円

③患者の慰謝料

1500万0000円
(患者の両親の慰謝料は否定された)

④弁護士費用

500万0000円

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