過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 耳鼻咽喉科 東京地判平成16年2月18日判決

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耳鼻咽喉科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

 

アレルギー性鼻炎に対するレーザ一手術について,医師にレーザーを過剰照射した過失が認められたケース

 

東京地方裁判所 平成13年(ワ)第12910号 損害賠償請求事件
平成16年2月18日判決
【説明義務,問診義務,手技,適応,治療方法,時期,因果関係】

<事案の概要>

患者(昭和20年生,女性)は,花粉が飛散する時期にくしゃみ,鼻汁,鼻閉などのアレルギー性鼻炎症状がでるため,平成9年4月,アレルギー性鼻炎に対するレーザー手術を行っていた被告病院(国立病院)の耳鼻咽喉科を受診し,A医師の診察を受けた。A医師は,患者に対して症状の問診,鼻内所見の視診,アレルゲン検査のための採血などを行った。

 

平成9年10月,患者は,被告病院のレーザー外来にて,B医師の診察を受けた。

 

B医師は,アレルゲン検査の結果,患者がスギ花粉やヨモギ花粉に強い陽性反応を示し,ハウスダストやダニなど通年性の抗原にも若干反応があり,患者が鼻閉で点鼻薬を使用することがあると述べていたことなどから,KTPレーザーを用いたレーザー手術の適応があると考えた。

 

アレルギー性鼻炎に対するレーザー手術には,アレルギー反応を起こす粘膜にレーザーを非接触的に照射して粘膜を蒸散させその変性と減量を行う蒸散法と,レーザーを接触的に照射して粘膜を切除し,その変性や減量とともに鼻腔の開大を図る切除法があり,被告病院では主に切除法を実施していた。

 

平成10年6月,患者は,A医師の執刀で,両鼻腔に対しレーザー手術(KTPレーザーにより下鼻甲介粘膜総鼻道側を切除する手術)を受けた。術後,A医師は,患者に止血剤や抗生物質を処方し,2か月後に術後状況の確認のため来院するよう指示するとともに,気になる症状があれば一般外来を受診すること,出血が止まらないなどの異常があれば直ちに来院することを告げた。

 

患者は,術後,鼻内からの出血や排膿が続き,他の医療機関を受診していたが,同年9月ころには排膿や出血はなくなり,粘膜切除部位の痂皮もとれ上皮化が完了した。この時点で,原告の右下鼻甲介は,前方から約3分の2が欠損した状態になっており,欠損部分に対応して,右下鼻甲介骨も欠損していた。

 

患者は,右下鼻甲介に欠損が生じた後,鼻や喉の乾燥感,膿性鼻汁,後鼻漏,喉への痰の張り付き,喉の痛みなどの症状を訴えるようになった。

 

患者が,被告病院を設置する国に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

 

請求金額

1396万7742円

結  論

一部認容(認容額116万9590円)

争  点

@患者のアレルギー性鼻炎に対し,切除法によるレーザ一手術の適応があったか否か。
AA医師やB医師は,レーザ一手術以外の治療法の存在,手術の必要性,発生し得る合併症などについて説明義務を怠ったか否か。
BA医師が患者の下鼻甲介にレーザーを過剰照射し又は粘膜を過剰に切除した過失があるか否か。
CA医師に術後管理として術後1週間以内に患者を診察して感染の有無を確認する義務があったか否か。
D患者に現在残っている症状の程度,A医師やB医師の過失と患者が訴える症状との間に因果関係があるか否か。

認容額の内訳

@治療費・通院交通費

6万9590円

A慰謝料

100万0000円

B弁護士費用

10万0000円

判  断

@適応あり
A説明義務否定。
Bレーザー手術を行う医師としては,患者の健康に不利益となる事態を生じさせないよう,照射量や照射方法に注意して過剰なレーザー照射を行わないよう注意すべき義務がある。A医師には,上記の注意義務違反に違反してレーザーを過剰に照射した結果,患者の下鼻甲介と下鼻甲介骨に欠損を生じさせた過失がある。
C否定
DA医師がレーザーを過剰照射して下鼻甲介や下鼻甲介骨を欠損させた過失と,上気道乾燥感,喉の痛み,痰の絡みなどの症状との間には相当因果関係がある。

 

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