光樹(こうき)法律会計事務所 医療事故・医療過誤の法律相談 全 国 対 応 電話相談可

お問合せ
平日10:30~17:00
03-3212-5747
医療過誤 医療事故 弁護士68.png

耳鼻咽喉科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

患者が呼吸困難を生じ,低酸素脳症を発症して死亡したことについて,医師の気道確保開始の判断及び措置に注意義務違反が認められなかったケース

 

東京地方裁判所 平成13年(ワ)第28167号 損害賠償請求事件
平成15年2月27日判決
【入院管理,治療方法,時期】

<事案の概要>

患者(昭和17年生,女性)は,くも膜下出血のため被告病院に入院し,脳神経外科医であるA医師により下気管切開され,気管カニューレによる呼吸管理を必要とする状態で甲病院に転院していた。平成11年11月16日,気管カニューレが外れ,翌17日に呼吸状態が悪化したが,開窓部がふさがってしまったため,被告病院に再転送され,同日午後4時ころ被告病院に到着した。

A医師は,同日午後4時10分ころから,患者について約20分程度診察等を行っていたところ,患者の酸素飽和度が90%前半に低下したため,従前の開窓部を再切開して気管カニューレを挿入しよう考え,約10分間で気管切開の準備をした上,再切開(第1次切開)して気管カニューレを挿入しようとしたが,従前の開窓部の下方に肉芽が生じていて挿入できなかった。A医師は,耳鼻咽喉科のB医師も呼び,肉芽を圧排しようと繰り返したが,患者の酸素飽和度が低下し,午後5時ころには呼吸停止も生じたため,患者に対し,通常行われる下気管切開の部位のさらに下側まで切開を行い(第2次切開),カニューレを挿入し,同日午後5時過ぎころ患者の気道を確保したが,患者は低酸素脳症を発症して死亡した。

患者の父が,被告病院を開設している地方公共団体に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

3501万7967円

結  論

請求棄却

争  点

患者が被告病院に到着した時に,直ちに気管カニューレの装着を試み,気管切開術その他の気道確保法を施行することにより,遅くとも午後5時の患者の呼吸停止以前に患者の気道を確保すべきであったにもかかわらず,これを怠ったのか否か。

判  断

患者が,被告病院に到着した時点で,酸素飽和度は90%台後半を維持しており,A師は,酸素飽和度が90%台前半に低下した時点で気管切開術を決断したのであるから過失は認められない。気管切開の準備に10分要したのは気管切開の準備に要する時間を逸脱していない。本件肉芽のような,圧排不可能な硬い肉芽が生じていることは予測困難であり,A医師にこれを予見して対処すべき義務があったとはいえない。

医療事故・医療過誤(医療ミス)について法律相談をご希望の場合には,『医療事故調査カード』をダウンロードし,必要事項をご記入の上,当事務所宛にご郵送ください 担当弁護士が内容を拝見した後,ご相談日をご連絡いたします 電話相談も可能です

 歯科・精神科・美容のご相談は受け付けておりません

光樹(こうき)法律会計事務所 

〒100-0005 東京都千代田区丸の内2丁目5番2号 三菱ビル9階 969区

※丸ビルの隣、KITTEの向かい

TEL:03-3212-5747(受付:平日10:30~17:00)

F A X  :03-3212-5740

医療事故・医療過誤(医療ミス)についての法律相談をご希望の場合には、下記『医療事故調査カード』をダウンロードし、必要事項をご記入の上、当法律事務所宛にご郵送ください。なお、歯科・精神科・美容相談は受け付けておりません

※担当弁護士が内容を拝見した後、ご相談日をご連絡いたします。