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眼科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。
アルカリ物質であるモルタルセメントが右眼に入り,失明状態となった患者の治療について,担当医師に,洗眼・モルタルセメント除去義務違反が認められたケース
東京地方裁判所 平成14年(ワ)第16042号 損害賠償請求事件
平成16年1月29日判決
【治療方法,時期,因果関係】
<事案の概要>
患者(昭和44年生,男性)は,平成9年6月9日,工事現場で作業中,右眼にモルタルセメントが入ったため,直ちに,モルタルセメントを練るための水を入れたタンクに顔を突っ込んで、,2〜3分程度,眼を開いたり閉じたりして洗った。その後,患者は,約8分かけて手洗い場まで行き,ホースを眼に向け4〜5分程度流水で洗浄し,約10分後,被告病院を受診した。被告病院では,麻酔薬が2,3回点眼され,担当医師は,他の2,3人の患者の診察を終えてから患者の診察をしたが,患者の右眼前眼部は,角膜表面に混濁があったものの,虹彩紋理はよく見える状態で,モルタルセメントが球結膜表面に散在し,上下の結膜嚢内に多量に充満していた。担当医師は,左眼前眼部に異常がないことを確認した後,両眼の眼圧を測定したが,正常であり,両眼の眼底検査では,右眼底がよく見えなかった。担当医師が,助手に,患者の両眼について,フラクトメーター及び検眼レンズによる視力検査を行わせたところ,裸眼視力(右0.1,左0.04),矯正視力(右0.8,左1.0)であった。その後,担当医師は,患者をベッドに寝かせ,洗眼瓶で生理食塩水をかけ,ガーゼでモルタルセメントをこすりながら,患者の右眼の洗浄を行い,点眼薬を患者の右眼に滴下した。担当医師は,患者に対し「眼の中のモルタルセメントはほとんど取れたし,この程度なら1週間くらいで治る。角膜が再生するのに1週間くらいかかる。」などと説明した後,点眼薬,内服薬,座薬を処方し,翌日も来院するよう指示した。
患者は,6月10,11日と被告病院を訪れ、担当医師の治療を受けたが,右眼の回復が思わしくなかったため,同月12日,甲病院を受診し,右眼洗浄後,乙病院(大学病院)を紹介され,同日,乙病院で診察を受けた。診察の結果,患者は,右眼にモルタルセメントの粒が残っている状態で,持続洗眼により,モルタルセメントの除去がなされたが,モルタルセメントを全部は取りきれず,角膜の状態は悪かった。患者は,同月13日,乙病院に入院し,同月16,19日にもモルタルセメントの除去が行われた。同月27日には,丙病院(大学病院)において通院診療が開始され,右眼の矯正視力は上下には変動しながらも,8月9日ころには,0.9になり,患者は,同日,乙病院を退院した。その後,状態が悪化し,患者は,角膜表層移植術を受け,一時は,裸眼視力0.5,矯正視力0.6程度にはなったが,拒絶反応が出るなどして,表層角膜移植術,結膜被覆術,羊膜移植術,結膜縫合術を受けたものの,平成13年12月28日,角膜混濁(瘢痕性角結膜症)と診断され,失明状態となった。
患者が,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。
請求金額 | 7509万6257円 | ||||
結 論 | 一部認容(認容額1146万3929円) | ||||
争 点 | ①洗眼義務違反の過失の有無 ②因果関係 | ||||
認容額の内訳 | ①後遺障害による逸失利益 | 343万0429円 | |||
②入通院慰謝料 | 400万0000円 | ||||
③後遺障害慰謝料 | 260万0000円 | ||||
④入院雑費 | 43万3500円 | ||||
⑤弁護士費用 | 100万0000円 |
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