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眼科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

白内障手術中に毛様体を損傷した過失,及び,術後の経過観察において,網膜剥離を見逃した過失はいずれも認められなかったが,網膜剥離を発見した後,担当医師が,剥離が黄斑部に達したことを認識しながら,直ちに緊急手術を実施しなかった過失が認められたケース

 

東京地方裁判所 平成12年(ワ)第11649号 損害賠償請求事件
平成15年5月7日判決
【手技,治療方法,時期】

 

<事案の概要>

患者(大正9年生,男性)は,平成10年6月2日,被告病院(大学病院)において,右眼の白内障が少しずつ進行しているとの診断され,同年8月18日,右眼の白内障手術を受けるため,被告病院に入院した。入院時の右眼視力は0.6で,視野は正常だった。

患者は,同月20日,担当医師(眼科教授)の執刀で白内障手術を受け,8月30日に退院した。手術中,毛様体上皮が剥離し,硝子体出血による硝子体混濁が生じたが,眼底後極部の網膜剥離には至らなかった。

患者は同年9月2日と9日に被告病院を受診した。2日の診察において,患者から飛蚊症と多重複視の訴えがあり,視力の低下(0.1),周辺部に膜様物の立ち上りが認められたが,膜様物に対する検査は実施されなかった。

9日の診察では,患者の右眼に網膜剥離(裂孔原性網膜剥離。網膜に孔が生じ,この孔から眼球内の水(液化した硝子体)が網膜の下へ入り込んで,網膜が剥離する疾患で,いったん剥離が進行し始めると,自然治癒の可能性は極めて小さく,全網膜が剥離して失明に至る。剥離が黄斑部に達すると視力が著しく低下する。陳旧化すると剥離した網膜に線維膜が形成され,網膜が剥離したままの形で器質化するおそれもある)が発見された。右眼視力は2日が0.1,9日が0.2であった。患者には,視野欠損などの網膜剥離の自覚症状はなかった。

患者は,9月14日に再手術する予定で,9月11日に被告病院に再入院した。11日の診断では,剥離はまだ黄斑部に達しておらず,患者の右眼視力は0.4であったが,12日には,患者の網膜剥離が悪化し剥離が黄斑部に及んび,右眼のほぼ全視野に欠損が生じた。しかし,担当医師は,手術を早める必要はないと判断し,予定どおり14日,右眼の網膜剥離に対する手術が実施された。

患者は,同年10月2日に被告病院を退院したが,右眼視力は,退院後の10月7日の検査で0.1であった。

患者は,平成11年1月13日まで被告病院に通院したが,右眼視力は0.1のままで回復せず,甲病院(大学病院)へ転院した。同病院において,同年4月15日の検査で右眼にも視野狭窄が認められ,平成12年5月22日には,右眼視力は0.04で矯正不能,網膜剥離後の網膜変性により視力回復は不能と診断された。

患者は,平成14年11月21日,視野障害により身体障害程度等級2級の認定を受けた。

患者は,被告病院を開設する国に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

9769万7805円

結  論

一部認容(認容額2734万2179円)

争  点

①白内障手術中に毛様体を損傷した過失の有無
②9月2日の外来診療時に網膜剥離を見逃した過失の有無
③9月9日に網膜剥離を発見した後,緊急手術を実施しなかった過失の有無

認容額の内訳

①逸失利益

1684万2179円

②慰謝料

800万0000円

③弁護士費用

250万0000円

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