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小児科・新生児科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

医師は患者の両親に対しても信義則上説明義務を負い,遺伝病を持つ子の両親に対し,次の子に同様の症状が出る可能性についての説明が不適切であり誤解を与えるような場合,医師には説明義務違反が認められるが,その説明義務違反による損害は,自己決定について不当な影響を与えたことに対する慰謝料のみが認められ,遺伝病を持つ子が出生した結果生じた介護費用等に関しては法的因果関係のある損害とは認められなかったケース

 

東京地方裁判所 平成13年(ワ)第24783号 損害賠償請求事件
平成15年4月25日判決
【説明・問診義務,因果関係,損害論】

<事案の概要>

原告ら(夫婦)の第1子(平成4年生,男子)は,出生後,眼振を伴った運動遅延が見られたことから,平成5年6月23日より被告施設(障害児医療センター)を受診し,同年7月,小児科医から,ペリツェウス・メルツバッハル病(PM病)の可能性を告げられた。その後,2〜3か月に1回程度被告施設を受診し,小児科及び耳鼻科の診察を受けていたが,重度の失調型脳性麻痺の状態で,立位を保持できず,簡単な会話を理解し,単純な返事ができる程度の知的状態であった。

原告らは,平成6年11月,長男の診察の際,小児科医及び耳鼻科医に対し「次の子供を作りたいが大丈夫か」と質問したが,小児科医は,原告らの家族に長男と同様の症状をもつ者がいないことを確認した上で「私の経験上,この症状のお子さんの兄弟で同一の症状のあるケースはありません。かなり高い確率で大丈夫です。もちろん第1子がそうであるように交通事故のような確率でそうなる可能性は否定しませんが。長男の子供に出ることはあるが,兄弟に出ることはまずありません。」などと説明した。小児科医は,長男の初回受診時からPM病を疑い,平成7年6月にはPM病と確定診断したが、同年10月に実施した遺伝子解析検査の結果は陰性であった。

原告らは,平成8年1月の受診時,原告妻が第2子を妊娠し,同年7月に出産予定であることを小児科医に告げたが,小児科医からは特段の説明はなかった。原告妻は,同年7月に健常な男児を出産した。その後,原告妻は,第3子を妊娠し,平成11年7月の受診時,小児科医に妊娠を伝えたが,医師から特段の説明はなされなかった。原告妻は,同年10月,第3子(男子)を出産したが,眼振が見られ,PM病と診断された。

PM病は,脳内の白質中の髄鞘の成分を構成する主な蛋白質の一つであるPLPがうまく作られないため,髄鞘が形成不全ないし脱髄を示す極めてまれな中枢神経系の疾患であり,多くは進行性である。平成6年11月当時の医学的知見としては,原因の最も大きなものとして伴性劣性遺伝が挙げられ,PLP遺伝子の異常が見つかる症例が約20%存在した。一方,理由は明らかではないが,典型的な伴性劣性遺伝の場合と比較して男児の発症例は少なく,女性の発症例や孤発例が多いとの報告があり,突然変異によるものもあった。遺伝子の重複が関係している症例もあるらしいことは分かっていたが,検査方法は確立されておらず,解明されていなかった。

原告らが,小児科医の勤務する被告施設を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計1億6460万7014円

結  論

一部認容(認容額 合計1760万円)

争  点

①小児科医師の説明義務違反の有無
②因果関係及び損害

認容額の内訳

①慰謝料

各1600万円

②弁護士費用

各160万円

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