過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 整形・形成外科 大阪地判平成17年11月16日判決

医療過誤 医療事故 弁護士68.png

整形外科・形成外科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

 

在監者の患者について,外部脊椎専門医の診察及び手術を受けさせるべき注意義務違反,適切な保存治療を行うべき注意義務違反,外部脊椎専門医等に後縦靭帯骨化症に関する適切な説明をさせるべき注意義務違反がいずれも認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成16年(ワ)第2250号 損害賠償請求事件
平成17年11月16日判決 控訴・控訴取下
【説明・問診義務,治療方法・時期,転医義務】

<事案の概要>

患者(昭和23年生,男性)は,平成14年11月10日,鉄砲刀剣類所持等取締法違反で逮捕され,同年11月29日,起訴された。患者は,逮捕後,警察署留置場に勾留されていたが,平成15年2月4日,拘置支所に移監された。拘置支所の入所時の健康診断で,患者は,刑務所医務部所属のA医師(内科)に対し,ヘルニア手術など腰椎及び頸椎に対する手術を過去5回受けたことがあり,頸部痛があること等を伝えた。患者が,平成15年4月ころから,左手のしびれの持続,左腕のやせ及び左握力低下を訴えたためA医師は,整形外科医の受診を指示し,患者は,同年5月1日,医療刑務所整形外科医であるB医師の診察を受けた。B医師は患者の症状を後縦靭帯骨化症に起因する脊髄症状と診断しメチコバール及びユベラ(末梢循環改善剤)を処方し,患者に対し,投薬による保存療法が続けられた。患者は,同年5月21日,患者の元主治医であり,脊椎外科の専門医である甲病院F医師の診察を希望したが,刑務所医務部所属のC医師(外科)は,その必要性はないと考え,F医師の受診を認めなかった。患者は,同年6月12日,乙病院(総合病院)において,D医師によりMRI検査を受けた。MRI所見は,脊髄自体の回復は高度障害により既に困難と考えられるもので,手術療法による効果もあまり期待できない状態であった。D医師は,捜査関係事項照会書に対し,患者には脊椎専門医の診察が必要であり,神経症状が悪化すれば,拘置所内で拘置し続けることに医学上支障がでると思われることなどを回答した。

 

F医師は,同年6月30日,患者の弁護人と面談し,頸椎ヘルニア及び頸椎後縦靱帯骨化症による症状の発生ないし進行が予測され,患者がそのような症状を訴えた場合,直ちに精査することが望ましいとの意見書を提出した。G医師(後縦靭帯骨化症を含めた脊椎疾患に関する治療の第一人者)は,同年9月8日付けで,捜査関係事項照会書に対し,乙病院のMRI検査結果によれば,患者に対する外科治療は,症状改善の予見又は保証が困難であるばかりか,かえって症状が悪化し,生命にかかわる障害が生じる可能性も稀とはいえないため,現状では現実問題として外科治療の適応はない旨回答した。

 

同年9月29日,患者は,丙病院(総合病院)を受診した。E医師の診察を受けた。同医師は,捜査関係事項照会書に対し,手術療法が望ましいが技術的に困難であり,手術可能な施設があれば手術を受けるという選択肢もあることなどを回答し,患者の弁護人による弁議士会照会に対し,患者に頸椎後縦靭帯骨化症の症状があり,対症療法では治らないため,F医師が手術可能と判断するなら受けてもよいと思うなどと回答した。F医師は,同年11月8日,患者の弁護人あてに,患者の手術歴及び丁病院のMRI検査結果上,頸椎ヘルニア及び頸椎後縦靭帯骨化症が残存している所見が認められるので,四肢麻痺などの症状が進行しているのであれば,早急にMRI等の検査を受ける必要があるとの意見書を提出した。

 

拘置支所長は,同年11月27日付けで,患者の弁護人による弁護士会照会に対し,同年5月1日,整形外科専門医による診察を,同年6月12日,MRI検査を,同年9月29日,整形外科専門医の診察を各々受けさせていること,施設内で可能な対症療法を実施しており,現状のまま勾留を継続することは可能と考えられる旨を回答し,平成16年1月21日付けで,患者に対する外科手術は難しく,対症療法を実施していること,手術によって回復できる時期は既に過ぎていて手術適応はなく,元主治医の治療を受ける必要性はないと判断している旨を回答した。F医師は,拘置支所長による平成16年2月20日付け照会に対し,患者には頸椎ヘルニア及び頸椎後縦靭帯骨化症による症状の発生進行が予測され,四肢麻痺も進行しているとのことであるから,早急に検査を受ける必要があると思われる旨回答した。

 

患者は,刑務所医務部所属医師及び拘置支所長が,患者に対して適切な保存療法を行わず,患者を放置したため,手術によって回復可能な時期を徒過し,将来的に脊椎麻痺に陥る可能性がある状態にされたなどとして,刑務所医務部所属医師及び拘置支所長の職務上の義務違背を主張し,国に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求訴訟を提起した。

 

請求金額

合計1000万円

結  論

請求棄却

争  点

@外部脊椎専門医の診察及び手術を受けさせるべき注意義務違反の有無
A適切な保存治療を行うべき注意義務違反の有無
B外部脊椎専門医等に後縦靭帯骨化症に関する適切な説明をさせるべき注意義務違反の有無

 

▲過去の医療裁判事例 目次ページに戻る

▲TOPへ戻る

 

医療過誤 医療事故 弁護士9.png 医療過誤 医療事故 弁護士10.png 医療過誤 医療事故 弁護士8.png

当法律事務所の業務内容やご相談方法。弁護士費用などのご案内です。

⇒ご相談方法のご案内

⇒弁護士費用

⇒医療関連業務内容のご案内

⇒弁護士のご紹介

⇒過去の取扱症例のご紹介


医療コラム

⇒医療コラム

⇒過去の医療法律相談

⇒医学の基礎知識

お問合せ時によくある質問をQ&A形式でご紹介します。

⇒医療法律相談について

⇒弁護士選びについて

⇒医療事件の流れについて

⇒カルテの入手方法について

⇒証拠保全について

⇒過失調査について

⇒説明会について

⇒示談交渉について

⇒医療訴訟について

⇒他の法律事務所との違い

⇒当事務所の医療関連業務

⇒弁護士費用について

⇒受付時間について

⇒アクセスについて

過去の医療過誤裁判事例のご紹介。

脳神経外科 | 神経内科

精神科・心療内科 | 内科

呼吸器内科 | 循環器内科

消化器内科 | 呼吸器外科

循環器外科 | 消化器外科

整形・形成外科 | 泌尿器科

産婦人科 | 小児科・新生児科

眼科 | 耳鼻咽喉科

放射線科 | 麻酔科

美容整形 | 歯科

皮膚科 | 救急

入院管理

医療過誤 医療事故 弁護士