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消化器外科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

上行結腸癌の手術後,患者が術後感染症により死亡したことについて,担当医師に肺炎の診断を遅延した過失,及び,肺炎の診断後に抗MRSA剤の投与を怠った過失がいずれも認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成16年(ワ)第4745号 損害賠償請求事件
平成18年2月24日判決 控訴
【検査,治療,入院管理】

<事案の概要>

患者(昭和17年生,男性)は昭和60年10月ごろから気管支喘息の治療を受けるようになり,一時入院加療していたが,上行結腸癌が発見されたため,平成13年7月30日,外科的治療目的で被告病院(公立病院)に入院し,同年8月2日,担当医師の執刀により手術を受けた。

患者は,手術翌日から同月7日までの間,CRP値及び白血球数が基準値を上回り,肺雑音が認められたが,酸素飽和度は概ね90%台前半を維持し,呼吸苦を訴えることはなく,体温も概ね平熱であった。同月8日,患者の希望もあり解熱鎮痛剤であるボルタレン坐薬を1日1〜2回から1日3回に増加した。患者は,多少食欲減退もあったが,呼吸苦の訴えはなく,発熱もなかった。同月9日,患者が創部痛を訴えたため1日3回のボルタレン坐薬が投与され,食欲減退や倦怠感が現れたが,呼吸苦の訴えはなく,発熱もなかった。翌10日,胃部症状を軽減するためボルタレン坐薬の使用を中止したところ体温が38.4度まで上昇し,酸素飽和度が90%を切るようになり,「胸が重くなった」など呼吸苦様の症状を訴え始め,翌11日朝には体温が40度を超え,喘鳴があるなど呼吸状態がさらに悪化したため酸素投与が行われ,レントゲン上肺炎所見が認められた。担当医師は,同日,抗菌薬をセファメジンからユナシンS(適応症は肺炎等)へと変更した。患者は,同月11日午後から翌12日朝にかけて,嘔気と創部痛を交互に訴え,酸素飽和度が80%台にまで下がり,酸素投与が再開されたが,同日の体温は概ね36度台で推移し,レントゲン上,右下肺野の陰影は悪化していなかった。同月13日には,白血球数が著明に減少して基準値内となり,体温も37度前後で安定し,酸素飽和度は酸素投与がなくても90%台後半を維持するようになった。同月15日に報告された同月13日に採取された喀出痰の検査結果,グラム陽性球菌が2+と多めに検出され,グラム陰性桿菌も検出されたが,MRSAは検出されなかった。患者に対する抗菌薬の投与は同月16日夕方分で終了となったが,同月19日夜,体温が38度台まで上昇したことがあったが,同月20日のレントゲン上,肺炎を窺わせる陰影は消失していた。

同月28日,レントゲン検査の結果などから患者は肺炎と診断され,同月29日からユナシンSを投与されるようになったが,尿からMRSAが検出され,肺炎は急速に悪化した。患者は,同月30日,ICUに入室し,抗MRSA剤であるタゴシットを投与された。その後,患者は,MRSA肺炎と診断され,平成14年2月24日,死亡した。

患者の転院手続のための報告書には,平成13年8月11日にMRSA肺炎を発症したと記載され,退院時要約(サマリー)にも同日MRSA肺炎を発症したと記載されていた。

患者の家族(妻及び子ら)が,被告病院を開設する地方公共団体及び担当医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計6285万円

結  論

請求棄却

争  点

①平成13年8月9日に肺炎と診断すべきであったのに,これを怠った過失があるか否か
②平成13年8月13日に肺炎の起炎菌がMRSAであることを疑い,抗MRSA剤の投与を開始すべきであったのに,これを怠った過失があるか否か

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