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消化器外科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

食道癌に対する放射線化学療法の実施期間中,患者が深夜突然急性胃潰瘍に起因する大量出血を起こし死亡したことについて,担当医師にあらかじめ抗潰瘍薬の投与をすべき義務や出血を具体的に予見して止血のための措置をとるべき義務が認められなかったケース

 

東京地方裁判所 平成15年(ワ)第1184号 損害賠償請求事件
平成17年2月16日判決 控訴 判タ1195号202貢
【検査,治療方法・時期】

<事案の概要>

患者(昭和9年生,男性)は昭和55年8月ころから,糖尿病及び胃の治療のため,甲病院へ通院し,胃の薬として,メサフィリン,タガメット,セルベックス,SM散等を処方されていた。昭和58年6月27日,胃内視鏡検査が実施され,潰瘍瘢痕等は認められず,胃の萎縮が強いと診断された。同年11月18日,患者は入院を勧められたが,乙省の要職にあるため入院できないとしてこれを断った。平成6年1月20日,上部消化管内視鏡検査が実施され,食道に異常はなく,胃内にも潰瘍瘢痕等は認められず,萎縮性胃炎であると診断された。

患者は,平成13年7月30日,嚥下困難を訴えて丙大学病院内科及び外科を受診し,同年8月2日,内視鏡により食道及び胃・十二指腸のファイパー検査及び食道の生検を受け食道癌と診断された。患者は,同月10日,入院となり,消化器外科のA医師,B医師,C医師及びD医師らが主治医となった。D医師は患者の娘婿であった。同月13日,光学医療診療部において,内視鏡による食道及び胃・十二指腸のファイパー検査とこれらの部位の生検が同部のE医師,A医師及びD医師により実施され,食道粘膜,胃の表面粘膜,胃底腺粘膜等が採取された。検査の結果,胸部中部食道に長径約7cmの3型食道癌(進行食道癌),全周性で深達度はT2(固有筋層まで浸潤)のものと,それに付随する0-Ⅱbの表在型食道癌があると診断された。診断結果に基づき,患者に対し,抗癌剤であるブリプラチンと5-FUの投与と30ないし40Gyの放射線照射を併用する放射線化学療法を1コース施行して癌を小さくした後,切除手術をする治療方針が決められた。

同月20日から,患者に対し,放射線化学療法が実施され,抗癌剤については,3週間にわたり週5回投与する計画で,1日当たりブリプラチンを15.3㎎,5-FUを512.6㎎投与することとされたが,当初の1週間の投与が終了した同月24日の時点で経過を観察することとされ,それ以降投与は実施されなかった。放射線照射は,当初1日2.5Gyを3週間にわたり週4回,合計で30Gy照射する計画であったが,1日当たりの照射量を減らして同月20日から同月24日までの5日間,同月27日,同月28日及び同月30日にそれぞれ1日2Gyずつ照射された。患者は,同月30日まで,貧血傾向,抗癌剤の副作用による食欲不振,嘔気,嘔吐等はあったものの,身体所見の著明な変化はみられなかった。同日夕方,患者は「便が黒いような気がする」と述べていた。

同月31日,午前4時ころ看護師が見回った際,患者は就寝中で異常は認められなかったが,午前5時15分,ベッドを離れ窓際で100ml程度吐血して倒れているのが発見され,心肺停止状態であった。蘇生措置が施されたが,同日午前7時05分に患者は死亡した。

病理解剖によって,直接の死因は,5cm程度の大きさの胃潰瘍からの大量出血であることが明らかになった。胃内には凝血塊を含む血液が約1000ml貯留し,十二指腸,空腸,回腸内容物は血性であった。結腸,直腸内にも血性内容物が見られ,潰瘍の口側後壁寄りの辺縁部に径1.0㎝大の潰瘍瘢痕が認められた。

患者の家族(妻及び子ら)が,主治医であったA医師,B医師及びC医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計6068万0719円

結  論

請求棄却

争  点

①抗潰瘍薬の投与を怠った過失の有無
②消化管出血等を疑って適切に対処しなかった過失の有無

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