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消化器外科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

早期胃癌の診断直後に病名を告知しなかったことが医師の裁量の範囲内とされ,医師の説明義務違反が認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第5563号 損害賠償請求事件
平成16年4月26日判決 控訴・控訴取下
【説明・問診義務,検査】

<事案の概要>

患者(男性)は,平成11年4月20日,被告病院(総合病院)で,胃内視鏡検査を受けた。担当医師Aは,びらん性胃炎の印象をもち,病理組織検査の結果,異型性グループⅢ(良性と悪性の境界領域の病変)であったため経過観察とした。

A医師は,同年6月22日,患者に対し,再度,胃内視鏡検査を実施し,萎縮性胃変,表面陥凹型又は表面隆起型+表面陥凹型の早期胃癌等を疑い,病理組織検査を依頼したが,患者の胃の病変が悪性である可能性が大きいと認識していた。同年7月にA医師と主治医を交替したB医師は,病理組織検査の結果,グループV(癌)であったことから,表面陥凹型の胃癌と診断した上,同年7月22日,患者に病名を告げないまま,精査加療と場合によっては手術を行うことを目的として入院を勧めた。

被告病院内科部長は,病名が分からないまま手術を勧められたとの患者の苦情を伝え聞き,同月24日,患者に対し,早期胃癌であることを告知し,超音波内視鏡検査(EUS)実施のため入院を指示した。

患者は,同年8月2日,EUSを受け,検査の結果,早期胃癌,予測深達度SM2(粘膜組織への浸潤,粘膜筋板からO.5㎜以上)と診断された。B医師らは,患者に対し,早期胃癌で2層までの浸潤が疑われること,1層までの浸潤なら内視鏡的粘膜切除(EMR)が可能であること,2層まで浸潤している場合リンパ節転移が10%見られ,SM2の場合20%になること,治療方法としてEMRで断端を調べ,癌組織が取り切れない場合,外科的手術をする方法と最初から外科的手術をする方法があること,深達度がSMになればリンパ節転移も十分考えなければならず,その場合死につながるからよく考える必要があること等を説明した。

患者は,被告病院外科部長のセカンド・オピニオンを得るため,同月6日,同部長の診察を受け,早期胃癌であること,病変が粘膜のみにとどまれば転移はないが,患者の場合,粘膜下層にまで至っているため,リンパ節転移の可能性があるとの説明を受け,幽門側胃切除術を受けることとした。転移の有無を確認するため,同年8月7日,胸部CT検査が,同月10日,肝臓の超音波検査が実施されたが,転移の所見は認められなかった。患者は,同月19日,幽門側胃切除術を受け,胃の約5分の3を切除されたが,その後,転移,再発は見られない。

患者は,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計65万2450円

結  論

請求棄却

争  点

説明義務違反の有無

判  断

B医師が,平成11年7月22日,胃癌と診断した際,患者に直ちに病名を告知しなかったのは,癌の告知については,患者の性格や家族の意向等を踏まえる必要があり,わずか2回接したに過ぎない患者への告知に慎重な姿勢をとったからであり,こうした判断は医師の裁量の範囲内であり相当である。

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