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消化器外科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。
肝動脈再建手術を血管外科医ではなく消化器外科医が実施したことに過失はなく肝動脈再建ないし修復後,ドプラー超音波検査を行わず抗凝固療法を行いながら経過観察しことにも過失が認められなかったケース
東京地方裁判所 平成13年(ワ)第3654号 損害賠償請求事件
平成16年2月25日判決
【手技,検査,治療方法・時期】
<事案の概要>
患者(昭和10年生,男性)は,平成9年,被告病院(大学病院)外科に入院し,大腸癌の手術を受けた。患者は,退院後,外来通院していたが,平成10年2月4日転移性肝癌が発見され,同月12日,被告病院に入院し,同年3月5日,担当医師(消化器外科)らの執刀で,肝左葉切除術を受けた(本件手術)。担当医師は,術中,癒着剥離の際,腸管の一部と右肝動脈を損傷したが,これらを修復し,肝左葉を切除し手術を終了した。
その後,患者は,残肝に虚血性変化を生じ,多発性肝膿瘍を起こして,同年8月2日,被告病院において,肝不全等により死亡した。
患者の家族(妻及び子ら)は,担当医師に,①右肝動脈損傷は右肝動脈の完全離断であり,かかる損傷に過失がある,患者の術後の状態の悪化は肝動脈再建(修復)後に肝動脈血栓症が発症したためである,②肝動脈修復を血管外科医に担当させなかった過失,又は③肝動脈再建(修復)についての手技上の過失,④術後ドプラー超音波検査で、右肝動脈に血流があるか否かを継続的に検査し,血栓閉塞が疑われれば,直ちに血管造影を行い,動脈再建を行って血栓を除去すべきであったのに怠った過失があったとして,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。
請求金額 | 合計4310万0240円 | ||||
結 論 | 請求棄却 | ||||
争 点 | ①肝左葉切除術において右肝動脈を損傷させた過失の有無 |
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