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消化器外科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。
患者の家族が,患者に対する癌の告知を望まず,かつ医師に対しその意思を明示している場合,医師が患者に対し,癌の告知をしなかったこと及び開胸手術を実施する際に肋骨切除の手技を採用することについて,医師が患者に説明をしなかったことにつき過失がいずれも認められなかったケース
東京地方裁判所 平成14年(ワ)第2297号 損害賠償請求事件
平成16年1月30日判決
【説明義務,問診義務,手技,治療方法,手術適応,時期】
<事案の概要>
患者(昭和2年生,男性)は,平成3年,人間ドックで食道下部の異変を指摘され,精査目的で同年7月3日,被告病院(国立病院)の消化器科を受診した。
被告病院担当医師(消化器外科)は,同月11日,内視鏡検査及び細胞診断を行ったところ,患者の食道中部から下部の食道にびらん及び発赤の散在が認められ,その異状部分から採取した組織に癌細胞が発見されたため,食道癌の確定診断をした。同年8月20日,被告病院が2回目の内視鏡検査及び細胞診断を行ったところ,癌細胞は発見されなかったが,被告病院は当初の確定診断を維持した。
被告病院は,患者の妻に対し、食道癌の診断結果を伝えたものの,妻の要請で患者本人に対しては,癌の告知をせず,食道潰瘍であると告げた。
担当医師は,同月27日,患者に対し,胸部食道全摘手術を施行し,その際,開胸のため,右第5肋骨及び第6肋骨を1cmほど部分的に取り除いた。
被告病院が,術後,切除組織の病理組織診断を行ったところ,癌細胞は発見されなかった。
患者は,そもそも食道癌はなく本件手術は不要であったこと,肋骨の切除は不要であったこと,患者に対し癌の告知をしなかったこと,本件手術施行後に手術部に激しい痛みの後遺症が生じることについて説明をしなかったことなどを主張し,被告病院を開設する国に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。
請求金額 | 合計5000万円 | ||||
結 論 | 請求棄却 | ||||
争 点 | ①本件手術の必要性
②2本の肋骨を部分的に切除したことの許容性 ③説明義務違反の有無
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