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脳神経外科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

急性骨髄性白血病の治療を受けていた患者が入院中の病院から失踪したことについて,医師らに,患者をに神科に受診させなかった過失や患者の精神状態に対する配慮を欠いた病状説明をした過失が認められなかったケース

 

東京地方裁判所
平成14年(ワ)第22232号 慰謝料請求事件(第1事件)
平成16年(ワ)第1542号 慰謝料請求事件(第2事件)
平成17年2月23日判決 控訴
【入院管理,治療方法・時期】

<事案の概要>

患者(昭和38年生,女性)は,平成11年1月,急性骨髄性白血病であると診断され,被告病院(国立病院)の血液内科に入院した(第1回入院)。血液内科のA医師が担当医,B医師が副担当医となり,患者に対し,抗癌剤を投与する化学療法(寛解導入療法)が開始され,白血病細胞がほぼ消失する完全寛解状態になり,その後,白血病細胞根絶のための化学療法が開始されたが,患者は,平成11年4月,点滴にうがい薬を注入して自殺を図った。患者は被告病院の精神科を受診し,抑うつ状態と診断され,週数回の面接(精神療法)と抗うつ薬,抗不安薬の投与を受けることになった。患者は,完全寛解の状態が維持されたため,平成11年7月に退院した。

平成11年9月,患者の急性骨髄性白血病が再発し,被告病院血液内科に緊急入院となった(第2回入院)。患者に対し,治験薬を使用した治療が実施されたが,寛解には至らなかった。そこで,末梢血幹細胞移植療法を実施することとなり,患者は,平成12年5月にいったん退院した。患者は,第2回入院の間,精神科を受診し,精神療法と抗うつ薬・催眠薬の投与を受けていた(抗うつ薬は,患者の精神状態が安定したため平成12年2月で打ち切られた)。患者は,平成12年5月,被告病院血液内科に入院し(第3回入院),末梢血幹細胞移植療法を受け,完全寛解の状態となったため,平成12年8月に退院した。患者は,第3回入院の間,精神科を受診し,精神科のC医師とD医師の診察を受けていた。精神科における治療は精神療法のみで,抗うつ薬や抗不安薬の投与は行われなかった。平成12年11月,患者は,急性骨髄性白血病が再発したため被告病院血液内科に入院した(第4回入院)。再発した急性骨髄性白血病に有効と考えられる標準的治療法は存在せず,予後は絶対的に不良と判断される状況にあったため,A医師やB医師は,転院が可能なうちに自宅付近の病院に転院し,家族と過ごす時間を作れるようにするのが最善の選択肢であると考えた。第4回入院期間中,患者が精神科を受診することはなく,精神療法や抗うつ薬,抗不安薬の投与も行われなかった。患者は第4回入院後,泣いたり看護師に不安を訴えることもあったが,体調の良いときなど笑顔が見られることも多く,治療に積極的な言動も見られた。患者は,平成13年1月中旬ころから,夜間尿などのため不眠を訴えるようになり,不眠でいらいらする様子も見られたため,催眠薬の投与,尿量を抑える点滴量の変更などの対処がされた。平成13年2月1日,A医師は,患者とその夫に対し,今は白血病の勢いがあまりなく,動くこともできる一番良い状態だが,次の治療を行うと状況は厳しくなること,自宅近くの病院に転院し,輸血を受けながら様子を見る選択肢もあり,そうすれば外泊も簡単にできることなどを説明したが,患者が退院せず治療を続けることを希望したため,患者の意向を容れ,他の医師とも相談して治療方針を決定すると回答した。A医師の説明の後,患者の夫から,患者の言動に理解できないところがあるので精神科を受診させてほしいと要望があり,A医師はC医師に対し,翌2月2日に患者を診察するよう依頼した。ところが,患者は,2月1日の夜,点滴を外した上,被告病院からタクシーに乗って無断外出し,そのまま失跡してしまった。

患者の夫と子が,第4回入院の際,A医師,B医師,C医師,D医師には,患者の精神状態に配慮して精神科を受診させる義務があったのにこれを怠った過失があり,又,平成12年2月にA医師が患者の精神状態に配慮せず退院を迫るような言動をしたことについても過失があるとして,A医師,B医師,c医師,D医師に対し,患者が失跡したことによる慰謝料の支払を求めて損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計1200万円

結  論

請求棄却

争  点

①第4回入院当初,医師らに,患者を精神科に受診させる義務があったか否か
②患者に不眠などの症状が現れていた平成13年1月26日の時点で,患者を精神科に受診させる義務があったか否か
③平成13年2月1日のA医師の病状説明に不適切な点があったか否か

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