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精神科・心療内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。
患者の自殺を防止するための監護・監視義務違反が認められた一方,患者側の過失も認められ過失相殺されたケース
大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第704号 損害賠償請求事件
平成16年2月9日判決
【入院管理,監護義務,監視義務,損害】
<事案の概要>
患者(昭和47年生,女性)は,平成12年3月ころから抑うつ状態となり,自殺企図が見られた。患者は,同年8月,被告病院(大学病院)精神科を受診し,以後,担当医師の投薬治療を受けるようになった。平成13年5月2日から同年12月17日まで,患者は,被告病院の閉鎖病棟に入院し,退院時にうつ病性障害と診断された。
患者は,平成14年2月5日,自宅マンションのベランダから飛び降り自殺を図ったため,同月6日,被告病院を受診した。担当医師は,患者が入院の適応であると考えたが,閉鎖病棟が満床であったため,入院予約して待機することとなった。
患者は,翌7日,自宅で酒と一緒に大量に薬を飲み,甲病院に救急搬送されたが,甲病院に閉鎖病棟がなかったため,甲病院医師は,被告病院の担当医師に対し,被告病院への転院を要請した。担当医師は,看護師長と相談し,閉鎖病棟に空きが出るまでの間,家族が24時間付き添いをし,モニター付きの個室で,家族の不在時及び夜間は施錠するという条件の下であれば受け入れ可能と判断し,担当医師から患者の母親に対しその旨を説明した上で,同月8日,患者を被告病院の開放病棟の個室に入院させた。
患者は,同月17日午前7時10分ころ,施錠中の病室で,カーテンレールに備え付けてあった点滴装着用の台フックにヘアードライヤーのコードを掛け,ベッドを踏み台にして縊死自殺を図り,心肺停止状態のところを看護師に発見された。
患者に対し,直ちに人工呼吸がなされ,救命救急センターに搬送されたが,蘇生後脳症の障害を負った。
患者が自殺に用いたヘアードライヤーは,患者が入院準備のために自ら詰めた荷物に入っていたもので,患者の母親が患者の妹に指示して,入院当日に病室に持って来たものであった。
患者が,被告病院を設置する国に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。
請求金額 | 1億0425万7864円 | ||||
結 論 | 一部認容(認容額 3135万9860円) | ||||
争 点 | ①被告病院担当医師,看護師らの,患者の自殺を防止するための監護・監視義務違反の有無 ②患者側の過失による過失相殺の可否・過失割合 ③損害額(逸失利益の算定) | ||||
認容額の内訳
| ①逸失利益 | 3226万6434円 | |||
②慰謝料 | 2000万0000円 | ||||
③以上の合計額 | 5226万6434円につき,4割の過失相殺 |
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