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脳神経外科における過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

神経サルコイドーシスに罹患していた患者について,検査結果及び診察結果からは神経サルコイドーシスを疑わせる所見はなく,医師が当時の臨床所見等から脳腫瘍であると診断したことはやむを得なかったとして,神経サルコイドーシスの確定診断が遅れたことに過失が認められなかったケース

 

東京地方裁判所 平成13年(ワ)第9818号 損害賠償請求事件
平成14年7月31日判決
【診断,手技,検査】

<事案の概要>

患者(昭和5年生,男性)は,平成8年3月29日,左眼の視力低下等を訴えて被告病院(総合病院)の眼科を受診した。頭部CT上,脳梗塞等の異常所見は認められず,左虚血性視神経症の診断で,患者に対し,ステロイド剤投与による治療が行われた。

患者は,平成9年5月9日,左眼の眼圧が高く,左眼隅角に結節が認められ,左眼虹彩炎も出現したことから,眼科医師は,肉芽腫性ぶどう膜炎とそれを生じる疾患のサルコイドーシスを疑ったが,点眼薬の投与で,同月23日には,虹彩炎及び左眼隅角の結節が消退し,左眼の眼圧も低下した。

患者は,同年6月に頭部CT検査を,同年8月に胸部レントゲン検査を受けたが,サルコイドーシス罹患を疑わせる異常所見は認められなかった。

患者は,同年10月,両側側頭部痛,左動眼神経麻痺を生じ,神経内科に入院したが,検査の結果,異常所見は認められず,左眼球運動も正常化した。

患者は,同年12月,複視を訴えて受診し,検査の結果,30%程度の右外転神経麻痺が認められ,遊走性脳神経麻痺の診断でビタミン剤が処方されたが,平成10年l月には治癒した。

眼科医は,平成10年7月31日,患者の右眼に比較的強い虹彩炎と,左眼に軽度の虹彩炎が出現し,眼圧が上昇し,両眼の隅角にテント状の周辺虹彩前癒着,左眼隅角に結節が認められたため,サルコイドーシスを疑ってアンギオテンシン変換酵素(ACE)の測定を指示し,眼の症状に対しては点眼薬投与を行った。ACE検査値は上昇していたので,胸部レントゲン検査が実施されたが,両側肺門リンパ節腫大(BHL)等のサルコイドーシスを疑う所見は認められず,両眼の虹彩炎も鎮静化したため,サルコイドーシスの確定診断には至らなかった。

患者は,同年10月9日,頭痛を訴えて循環器内科を受診し,同月14日に頭部CT検査を受けたところ,透明中隔部の腫瘍が発見され,同月16日,脳神経外科で神経膠腫が最も疑わしいと診断された。脳神経外科は,患者の頭痛が激しく進行性の症状であったことや治療方針を決めるため開頭手術して組織の病理診断を行う必要があったため,手術適応と判断した。

同年11月4日,患者に対し,開頭手術(本件手術)が実施されたが,術中に実施された迅速診断の結果,組織は上皮性肉芽腫であり,悪性ではないことが判明し,同月10日,術中標本の病理組織検査で,神経サルコイドーシスが最も疑わしいと診断され,本件手術後施行された各検査の結果,同年12月11日,神経サルコイドーシスの確定診断がなされた。

患者は,平成11年2月に退院したが,同年3月から四肢筋力低下と,体幹失調を訴えるようになり,これらの症状は,ステロイド療法により改善した。

患者は,体幹失調による歩行困難,立位保持困難,両大腿部の筋力低下の障害を生じ,身体障害者福祉法別表障害等級2級の認定を受けた。

患者は,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

4536万6720円

結  論

請求棄却

争  点

①サルコイドーシスの確定診断が遅れた過失の有無
②本件手術における手技上の過失の有無

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