過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 脳神経外科 大阪地判平成18年3月17日判決

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脳神経外科における過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

 

脳動脈瘤の血管内治療後,大腿部に仮性動脈瘤が生じ,右大腿神経損傷の障害が残ったことについて,血管内治療時の止血手技の過失及び術後の経過観察義務違反がいずれも認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成16年(ワ)第9228号 損害賠償請求事件
平成18年3月17日判決 控訴
【手技,検査,入院管理】

<事案の概要>

患者(本件当時58歳,女性)は平成15年9月22日,被告病院(総合病院)を受診し,MRA検査等で脳動脈瘤の存在が疑われたため,同月24日,被告病院に入院しA医師(脳神経外科)が主治医となり,脳底動脈先端部の動脈瘤に対し,血管内手術(GDC塞栓術)が施行されることとなった。10月8日,患者に対し,B医師(脳神経外科)の執刀で塞栓術が施行された。午後O時15分ころ塞栓術が終了し,B医師の監督の下,C医師(脳神経外科)によりクローザーによる穿刺部の止血が試みられたが止血できなかったため,直ちに徒手的な圧迫止血が開始されプロタミン2ccの投与,砂嚢及び圧迫帯による圧迫が行われ,午後7時ころ,圧迫が解除された。患者が,午後7時50分ころから,何度も穿刺部周囲から大腿にかけての疼痛を訴えたため,鎮痛剤,眠剤等が投与されたが,患者は,右下肢全体のだるさを訴え,朝方までほとんど眠れない状態であった。この間,穿刺部に新たな出血は認められず,徒手筋力テスト上,異常は認められなかった。同月9日の血液検査の結果,赤血球数366万,ヘモグロビン11.5,ヘモグロビンの割合72%,ヘマトクリット値34.7であった。同月10日,右大腿部の穿刺部痛,皮下出血,硬結及びしびれがあり,同月11日午後3時ころ疼痛が増強し,右大腿から下腿内側にかけて疼痛があったが,徐々に疼痛は改善され,鎮痛剤による疼痛コントロールができていた。

 

同月14日になって,患者の右下肢痛が増強し,痛み止め投与後も痛みが増強したため,A医師が患者を診察したところ,皮下血腫は治まってきていたので,同医師は,血腫により血流障害が起きていることによるこむら返り様の痛みと考え,患部を温めることなど指示した。同日夜,患者は,再び右大腿部内側の痛みを訴え,痛み止めが投与されたが痛みが治まらず,当直医の指示で鎮痛剤が筋肉注射されたが,右下肢痛を訴えてパニック症状を呈したため,鎮痛剤及び鎮静剤が静脈注射された。その結果,15日未明ころには,下股痛の軽減が認められたものの,明け方ころには,再び右下股痛が増強し,痛み止めを希望したため,再度鎮痛剤及び鎮静剤が静脈注射された。同日に行われた血液検査結果によれば,赤血球数384万,ヘモグロビン12.0,ヘモグロビンの割合75%,ヘマトクリット値36.3%であった。患者は,同月16日も,右大腿部痛を継続して訴え,鎮痛剤が繰り返し投与されたり,局所麻酔剤による疼痛コントロールが行われるなどした。同日,患者を診察したA医師は,こむらがえりは起きていないと診断した。

 

患者の右大腿部痛は同月17日には落ち着き,その後,間欠的に疼痛の増強を訴え,坐薬等の鎮痛処置がとられることはあったが,全体的には,軽減傾向にあり,患者自身も同様の認識を述べていた。同月27日,休暇中のA医師に代わり,被告病院整形外科のD医師が患者の夫に依頼されて患者を診察し,血腫があるため痛みが持続しているのではないかと考え,患者らに対し,右鼠径部大腿動脈部分の腫瘤が小さくなるにつれて突っ張る感じや痛みは軽快するだろうと説明した。患者は,11月1日,被告病院を退院した。

 

患者が,同月17日,A医師が作成した診療情報提供書を持参して甲病院整形外科を受診したところ,患者の状態は,右鼠径部に注射痕を中心に直径8cmの硬結があり,下腿以下への放散痛が認められず,下股全体がしびれ,膝の伸展ができず,膝蓋腱反射も認められないというものであった。同月21日,筋電図検査の結果を踏まえ,患者は,大腿神経障害と診断され,12月1日,甲病院に入院して,同月3日に右大腿血腫除去術を受けることとなった。11月29日,患者は被告病院を受診し,A医師に,右大腿部穿刺部痛が持続しており,筋肉痛も時々あると訴えたが,A医師は患者の右大腿部を視診ないし触診しなかった。患者は,12月1日,甲病院整形外科に入院し,同病院の医師から,右鼠径部に腫瘤が認められ,硬く緊満しているが,拍動は認められないと診断された。同月3日午後1時51分ころから,血腫除去術が開始されたところ,術中,血腫と思われたものが,実は拍動を伴う仮性動脈瘤であることが判明し,心臓血管外科医へのコンサルトを要するため手術が中止され,止血,閉創の上,同日午後5時30分ころ,患者は乙病院へ転送された。

 

乙病院の医師は,右鼠径部から大腿中枢側に20X15o大の非拍動性腫瘤を触知し,その内側に大腿動脈の拍動を触知したことから,大腿分岐外側に入り口を有する仮性動脈瘤であると診断し,同日午後8時5分ころから,仮性動脈瘤の修復術が実施された。患者は,同月9日に再び甲病院に転院し,同病院においてリハビリを中心とする治療を受け,同月26日,同病院を退院したが,大腿神経麻痺の症状が残り,右下肢の筋力を要する就労は不可能と診断された。

 

患者は,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

 

請求金額

合計5324万1177円

結  論

請求棄却

争  点

@塞栓術後の止血時における過失の有無
A術後の観察義務違反の有無

 

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