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脳神経外科における過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

左篩骨洞から左眼窩内壁にかけての占拠性病変(粘膜嚢腫)を摘出するための開頭手術後,患者の両限に視力障害が現れたことについて,担当医師らの過失が認められなかったケース

 

東京地方裁判所 平成15年(ワ)第17326号 損害賠償請求事件
平成17年7月28日判決 控訴
【手技】

<事案の概要>

患者(昭和26年生,男性)は,平成11年9月ころから,左眼に痛みや見えにくさ覚え,9月24日から10月15日まで,4回にわたって被告病院(大学病院)眼科を受診した。各種検査が実施されたが原因は判明しなかった。患者は,平成12年5月ころ,左眼に曇りを感じたため,5月2日,被告病院限科を再受診し,頭部CT検査を受けたところ,患者の頭部CT画像を読影したA医師(脳神経外科)により,患者の左篩骨洞から左眼窩内壁にかけて占拠性病変があり,これが視神経を圧迫していると診断された。

患者は,5月8日,被告病院脳神経外科に入院し,5月17日に占拠性病変を摘出するための開頭手術を受けた。手術では,仰臥位で下顎部が水平より低くなるように頭部を三点で固定された患者の前頭部の頭皮に,左側頭部から右側頭部にかけて冠状切開が入れられ,切開部から眼窩上縁まで頭皮が剥離され,眼窩上縁で薄いガーゼを挟み込むように折り曲げられ,釣針様の器具によって顔上に向けて翻転された。釣針様の器具は,弾力性のあるゴムによって,術野周囲を覆う清潔覆布に固定され,これにより,患者の頭皮弁は,翻転された状態で維持された。患者の頭皮の下に現れた前頭骨の骨欠損部位を取り囲むように開頭を施したところ,占拠性病変によって左眼窩上壁の一部が欠損していることが認められ,左眼窩上壁を剥離摘除し,ナビゲータ(手術用顕微鏡)を用いながら,占拠性病変が摘出された。その後,人工骨によって前頭骨の骨欠損部位の形成が行われ,手術は終了した。

患者は,術前である5月12日時点では矯正視力が右眼1.5,左眼1.2で,眼底所見は,黄斑部,視神経乳頭ともに正常と診断されていたが,手術翌日の5月18日には,右眼の視力は光覚弁(瞳孔に光を入れた場合に明暗が弁別できる程度の視力)すら測定できず,左眼は眼前30cmの距離にある手の動きを弁別できる程度の視力で,両眼について眼球運動障害が認められる状態であった。その後,若干の改善はみられたが,重篤な後遺障害が残った。

患者は,6月12日に糖尿病との診断を受けた。

患者は,本件手術後に両眼に後遺障害が現れたことについて,担当医師らが手術時に翻転した頭皮弁で両眼球を圧迫したことに原因があるなどと主張して,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

1億2784万6477円

結  論

請求棄却

争  点

担当医師らが,手術の際,翻転した頭皮弁で両眼球を圧迫しないように注意すべきであったにもかかわらず,これを怠ったため,患者に視力障害が生じたか否か。

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