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脳神経外科における過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

右内頸動脈-後交通動脈分岐部に生じた未破裂脳動脈瘤治療のための脳動脈瘤塞栓術の後,患者に左上下肢の機能障害及び知的機能障害が現れたことについて,担当医師らの過失が認められなかったケース

 

東京地方裁判所 平成14年(ワ)第26967号 損害賠償請求事件
平成17年8月29日判決 控訴
【説明・問診義務,手技,検査】

<事案の概要>

患者(大正12年生,女性)は,平成12年12月初旬ころから右眼の瞼が下がって見えにくくなったため平成13年1月31日,被告病院(大学病院)脳神経外科を受診した。頭部MRl検査の結果,右内頸動脈-後交通動脈分岐部に脳動脈瘤が指摘され,患者は担当医師より直ちに入院して手術を受ける必要がある旨を告げられた。

患者は,被告病院に入院し,2月1日午後1時30分ころに血管撮影室に入室し,午後1時45分ころから脳血管撮影検査を受けた。脳血管撮影検査では,右鼠径部からカテーテルが挿入され,午後2時14分ころ右内頸動脈の正側像が,午後2時19分ころ右内頸動脈の斜位像が,午後2時32分ころに右椎骨動脈が,午後2時52分ころ左内頸動脈がそれぞれ撮影された。患者は,2月1日午後5時30分ころ,血管撮影室に再入室し,脳動脈瘤塞栓術(コイル塞栓術)を受けた。手術では,午後6時05分ころから午後6時15分ころにかけて,右大腿動脈に挿入されたシースを通じてガイディングカテーテルが右内頸動脈へと誘導され,午後7時00分ころ,ガイディングカテーテルを通じてマイクロカテーテルが脳動脈瘤内に誘導され,午後7時03分ころと午後7時09分ころ,マイクロカテーテルを通じて脳動脈瘤内にコイルが挿入され,2本のコイルによって脳動脈瘤内にフレームが形成され,午後7時20分ころから,へパリン(抗凝固剤)3000単位の静脈注射が開始された。午後7時30分ころ,午後7時40分ころ,午後7時43分ころ,順次コイルが本件脳動脈瘤内に挿入され,午後7時43分ころに挿入されたコイルが留置されるのと同時にマイクロカテーテルが脳動脈瘤から押し出されてきたため,A医師,B医師らは,午後8時00分ころ,マイクロカテーテル及びガイディングカテーテルを抜去して手術を終了した。なお,手術中,随時,脳血管撮影検査が実施されていた。

同日午後8時30分ころ,患者の左上下肢の動きが悪いため,午後8時46分ころ頭部CT検査が,午後8時59分ころ,脳血管撮影検査がそれぞれ実施され,検査の結果,患者の右中大脳動脈の運動野に向かう末梢動脈の描出が悪いことが確認され,動脈瘤内に形成された血栓が飛んだ可能性が考えられた。そのため,患者に対し,午後9時25分ころ及び午後9時40分ころ,ウロキナーゼ(血栓溶解剤)が12万単位ずつ静脈注射され,その結果,患者の右中大脳動脈の運動野に向かう末梢動脈の一部に血流の再開が認められた。2月2日午後2時53分ころ,頭部MRI検査が実施され患者の左前頭葉の一部(左下前頭回)に脳梗塞の発症を示す所見が認められた。

患者は,6月5日に身体障害者手帳(左上肢機能障害〔2級〕,左下肢機能障害〔4級〕)の交付を受け,6月23日に被告病院を退院した。その後,患者は,平成14年1月4日,本件脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症し,甲病院(総合病院)医療センターに入院して,脳動脈瘤塞栓術による治療を受けた。

患者は,担当医師らに手技上の過失や説明義務違反があったなどと主張して,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

1億1857万3503円

結  論

請求棄却

争  点

①手術の際,担当医師らが全身へパリン化を怠ったために,患者は右脳梗塞を発症し,左上下肢の機能障害を生じたか否か。
②手術の際,担当医師らが,右脳動脈の閉塞に対して直ちにウロキナーゼを投与する措置を怠ったために,患者は右脳梗塞を発症し,左上下肢の機能障害を生じたか否か。
③患者の左脳動脈に対する脳血管撮影検査が,患者に左脳梗塞を発症させ,知的機能障害を生じたか否か。
④左脳に対する脳血管撮影検査の際,担当医師らが,患者に生じた左脳動脈の閉塞に対し直ちにウロキナーゼを投与する措置を怠ったために,患者に左脳梗塞を発症させ,知的機能障害を生じたか否か。
⑤担当医師らが,本件脳動脈瘤を完全に塞栓することを怠ったために,患者にくも膜下出血が起こり,後遺障害を生じたか否か
⑥説明義務違反の有無

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