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麻酔科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

手術に先立ち気管支挿管したが気管支痙攣のために換気不能となり患者が低酸素脳症になったことにつき,手術実施の判断,挿管担当医の事前・事後の処置,挿管方法の選択,挿管手技についての過失がいずれも認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第9707号 損害賠償請求事件
平成17年8月31日判決 確定
【手技,適応,治療方法・時期】

<事案の概要>

患者(昭和30年生,男性)は,平成14年12月28日午前1時ころ,交通事故で受傷し,被告病院(総合病院)に救急搬送された。患者は,問診で同月27日に発熱し,インフルエンザの治療のため薬を服用したこと等を説明した。担当医師A・B(心臓血管外科・呼吸器外科)は,第4〜第8肋骨の多発性骨折,左肺損傷,左緊張性血気胸,出血性ショック,フレイルチェスト(胸壁動揺)と診断した。医師らは,患者の血圧が低下しており,出血性ショックに陥っている血気胸及び肺損傷に対して,肋骨骨折観血的整復術,肺部分切除等の必要があると判断した。患者は,午前5時15分,手術室に入室し,担当医師C(麻酔科)が,5時20分ころ,毎分6リットルの酸素投与を開始し,胃内容物の吸引のため経鼻胃管挿入が試みられたが咽頭反射が強く,嘔吐のおそれがあったため断念された。午前5時30分ころ,フェンタネスト0.2mg,ベクロニウム1mgが投与され,午前5時33分ころ,ラボナール250mg,サクシン80mg投与で麻酔導入された(超急速導入法)。午前5時34分ころ,患者の自発呼吸の停止と繊維束縮が確認され,ブロンコキャス(37フレンチ気管用ダブルルーメンチューブ)で気管内挿管を試みられたが,換気できなかった。C医師は,食道内挿管を疑って抜管し,マスク換気したが,換気できなかった。午前5時35分ころ,ETC02がほとんど検出されなかったため,セボフレン5%投与し,アトロピン1Aを静注した。午前5時37分ころ,ベクロニウム9mgを静注し,再度,8mmチューブで挿管したが,換気できず(チューブはその後抜去されていない),ソルコーテフ5A及びア卜ロピン1Aを投与し,午前5時40分ころ,SP02・心拍数低下のため,ボスミン1A及びフェドリン1/2Aを静注した。午前5時44分ころ,心停止となったため心臓マッサージが開始され,午前5時45分ころ,アトロピン1A及びボスミン1Aが静注され,このころ換気可能となり,患者は,午前5時49分,心拍を再開した。しかし,低酸素脳症となり,意識が回復することなく,平成15年2月8日,死亡した。患者の気管内挿管時の換気不能の原因は気管支痙攣であった。

患者の家族(妻及び子ら)は,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計1141万6832円

結  論

請求棄却

争  点

①手術実施の必要性
②気管内挿管前の胃内容物吸引の必要性
③超急速導入法選択の適否
④気管支痙攣の予測可能性
⑤麻酔導入の薬剤の質,量の相当性
⑥麻酔下の挿管手技上の過失の有無
⑦急変後の気管支拡張剤投与の必要性

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