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内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。
下大静脈壁損傷により死亡した患者について,カテーテル挿入操作を誤った過失が認められなかったケース
大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第2760号 損害賠償請求事件
平成16年5月24日判決 控訴
【手技,因果関係】
<事案の概要>
患者(昭和16年生,女性)は他院に入院中,平成14年4月15日,くも膜下出血を発症し,被告病院に救急搬送された。被告病院は,同月29日,患者に対し左鼠径部からカテーテルを挿入して,人工透析治療を施行した際,カテーテルにより,下大静脈壁を損傷した。カテーテル挿入後,患者のパイタルサインに特に変化はなく,患者は,同日午前10時30分ころ,透析室へ運ばれ,透析室入室時の血圧は142/46㎜Hg,脈拍は毎分106回であった。B医師は,同日午前10時47分,患者の血液透析を開始し,透析開始直後は,脱血に問題なく経過していたが,午前10時52分,動脈圧ライン上,収縮期血圧が80ないし90台へ低下した。同日午前11時1分には,カタボン(昇圧剤)を持続点滴投与したが午前11時6分には収縮期血圧が30台となり,ノルアド(昇圧剤)0.5Aを静脈注射し,透析回路中の血液を返血し,透析を終了した。午前11時7分,患者の血圧は20台に低下し,下顎呼吸となったため挿管し,努力様呼吸のため,アンビューバック(ジャクソン加圧)で人工呼吸を実施したが,午前11時16分,ソルメド(ショックに対し使用する薬剤)の静脈注射直後,心拍数が毎分20回台となり,モニター上心拍停止に至った。心臓マッサージが開始され,午後0時18分,患者は,不安定ながら小康状態を保っていたため,透析室からNCUに搬送された。その後も血圧低下が続き,午後1時10分ころ,循環血液量を維持し,血圧を安定させるためMAP(赤血球濃厚液)及びFFP(新鮮凍結血漿)の輸血をカテーテルから行われたが循環血液量は回復しなかった。
患者は,5月17日,下大静脈壁損傷による播種性血管内凝固症候群により,被告病院において死亡した。
患者の家族は,患者が死亡原因は,カテーテルの挿入操作を誤って静脈壁を損傷し,これを看過して透析治療を行った注意義務違反によるとして,被告病院を設置する国に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。
請求金額 | 合計3034万8470円 | ||||
結 論 | 請求棄却 | ||||
争 点 | カテーテルの挿入操作を誤って静脈壁を損傷し,これを看過して透析治療を行った過失の有無 |
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