過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 内科 大阪地判平成16年3月15日判決

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内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

 

末期患者に対する吸引処置の適否が争われ,過失が認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第5372号 損害賠償請求事件
平成16年3月15日判決
【説明・問診義務,入院管理】

<事案の概要>

患者(明治40年生,女性)は,脳梗塞等の既往歴があり,寝たきりであったが平成13年3月14日,胸苦を訴え,排尿・排便にも支障が生じたことから,同居の娘の救急要請で被告病院(総合病院)に搬入され,心不全・心房細動等と診断され,被告病院に入院した。担当医師は,患者の娘に対し,患者には心不全及び貧血があっていずれもかなり悪く,急変時の延命処置の検討をしておいてもらいたいと説明した。娘とその他親族は,延命処置は希望しないことに決めた。

 

患者は入院当初から足部浮腫,微熱,食欲不振等の所見が見られるなど全身状態が悪く,同年4月3日には老衰の可能性が高いと診断され,同年6月1日には徐々に悪化していると診断されるなど末期状態(エンドステージ)にあった。

 

患者は,同月20日ころから,呼吸の態様が徐々に悪化し,努力様呼吸に移行していった。同月21日には,全身の冷感が著明で肩で呼吸をし,喘鳴が認められ,全肺野にラ音が聴取される状態となり,全身や爪の色も不良,足趾や足底にチアノーゼが認められた。患者の状態はさらに悪化し,SaO2(動脈血酸素飽和度)80%,意識レベルはJCSV-200程度,全身色不良,足底のチアノーゼはやや増強し,呼吸も下顎呼吸となり,吸引をしても痰が少量引ける程度で,ゴロ音や喘鳴がとれず,両肺のラ音が著明な状態であった。

 

担当医師は,患者の娘に対し,容態が危険で今日もつかどうかも分かりにくい旨を説明した。担当看護師は同月21日午後4時30分ころから勤務に入り,同日午後8時ころ,患者に対し,背部タッピング及び口腔と鼻腔から吸引処置を施して,泡沫状の茶色の痰を少量吸引した。翌22日午前零時15分ころ,付き添っていた患者の娘から担当看護師に対し,患者の口腔内に唾がたまってきているとの申し出があった。担当看護師は、患者の口が半聞きで,茶色の分泌物が酸素マスクからにじみ出るように口角から伝って外に流れ出ている状態だったので,患者の酸素マスクを外して口腔内と鼻腔内から茶色の分泌物を吸引した。

 

担当看護師が吸引を終え,患者の背部のタッピングを行っているとき,ナースステーシヨンのスピーカーから,患者の心拍数が40くらいまで落ちてきているとの連絡があったため,担当看護師は,当直医に連絡を取った。この時点で患者は血圧を測定できない状態で,呼吸はチェーンストークス様になっていた。

 

患者は,同日午前零時46分,心不全により死亡した。

 

患者の遺族らが,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

 

請求金額

合計880万円

結  論

請求棄却

争  点

@患者がエンドステージにある場合,患者が酸素マスクをして唾液を垂らしていても,酸素マスクを外して唾液の吸引処置をするのは患者の病状にショックを与えることがあるから,吸引するのではなく唾液を拭うべき注意義務があるか。仮に,唾液の吸引処置をすること自体は適切な処置であったとしても,担当看護師は,エンドステージにある患者に対し極めて乱暴で過剰な方法により吸引処置を行った注意義務違反があるか。
A患者の死亡について事後的な説明を怠った注意義務違反があるか。

 

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