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内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

右上肢へのケタラール注射により右上肢及び両下肢の機能障害,脊髄から両下肢にかけての痛みが生じたことを否定したケース

 

大阪地方裁判所 平成13年(ワ)第10426号 損害賠償請求事件
平成14年4月24日判決
【治療方法・時期,因果関係】

<事案の概要>

患者(平成2年当時31歳,女性)は,昭和63年6月から,不眠症,腰痛症,うつ病等で被告病院(個人病院)にて診療を受けるようになり,平成元年6月22日から同年7月27日まで,左手・肘・骨盤部の打撲傷についての診療も受けていた。

患者は他の医院でケタラール50の点滴注射を受けていたので,被告病院でもケタラール50の点滴注射を希望した。担当医師は,平成元年9月12日,患者に対し,ベンタジン1アンプルを上腕部に筋肉注射した上,上肢の肘横面部にケタラール50を1本(10ml)点滴によって静脈注射した。しかし,点滴中,患者に意識低下が生じたため,担当医師は直ちに患者を甲病院(総合病院)に入院させた。

患者と被告病院は,平成元年9月12日のケタラール注射により患者に意識低下を生じさせた責任として被告病院が患者に60万円を支払う(ただし後遺症は除く。)旨の示談書を作成した。

患者は,平成元年12月13日から,ケタラール注射による後遺障害が発生したとして,300万円の賠償金の支払を何度も要求したが,担当医師は,ケタラール注射により後遺障害が発生するはずはないと考え,支払を拒否した。

平成2年2月21日,患者は,市から左上肢の機能の著しい障害,右上肢の軽度の機能障害及び両上肢の機能全廃の障害名により身体障害者等級1級の認定を受けて身体障害者手帳の交付を受けた。

被告病院は,平成2年8月10日,患者との間で和解契約を締結し2000万円を支払った(「本件和解契約」)。

患者は,平成2年ころから,左上肢の機能の著しい障害,右上肢の機能の軽度の障害及び両下肢の機能全廃といった障害が発生し(「本件障害1」),平成10年ころから,1か月に1,2回,脊髄から両下肢にかけて激痛が生じるようになり(「本件障害2」),それら機能障害及び激痛が平成元年のケタラール注射によるものであるとして,担当医師個人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した(本件障害1については本件和解解契約で2000万円支払われているので,本件障害2について,本件和解契約の際に予期できなかった後遺障害であるとして,損害賠償請求をした。)。

請求金額

2000万円

結  論

請求棄却

争  点

①患者に,平成2年ころから,左上肢の機能の著しい障害,右上肢の機能
の軽度の障害及び両下肢の機能全廃等の障害(本件障害1)が発生したか否か。
②ケタラール注射と①の障害の因果関係の有無
③患者に,平成10年ころから1か月に1,2回,脊髄から両下肢にかけて激痛(本件障害2)が生じるようになったか否か。
④ケタラール注射と③の障害の因果関係の有無

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