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内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

糖尿病の検査等が遅れたことについて担当医師の債務不履行責任が肯定されたケース

 

東京地方裁判所 平成13年(ワ)第16065号 損害賠償請求事件
平成15年5月28日判決
【検査,入院管理,因果関係,損害論】

<事案の概要>

患者(昭和21年生,女性)は,平成4年9月28日,息切れ,めまい,動悸の症状を訴えて被告病院(総合病院)の内科を受診し,高血圧,狭心症,高脂血症,痛風の診断で治療を受けることとなった。血液生化学検査の結果,血糖値が289,尿素窒素が24.5,クレアチニンが1.6であった。

同年10月5日,患者は,息切れ,手指の関節痛の症状を訴え,血圧は130/90であった。患者は,担当医師に対し,以前の病院で「7,8年前から中間糖尿病と言われていた」と述べたが,担当医師は,9月28日の血糖値が289と高値であったことなどから,ブドウ糖負荷試験をするまでもなく,それほど重くない糖尿病であると判断し,患者に対し「太っているから腹八分目にして,毎日よく体を動かすように」と指示をした。担当医師は、尿素窒素とクレアチニンについては,数値が参考値を上回っていたので軽い腎機能障害が生じていると考えたが,軽いので、腎機能検査は行わなくてよいと判断した。

その後,診察の都度,患者に対し,血圧測定と薬の処方が行われた。平成5年2月4日の血圧は148/92で,胸部レントゲン検査の結果や患者の症状から,陳旧性脳血管障害,虚血性心疾患,糖尿病,高脂血症,うっ血性心不全と診断がされた。

同月23日の血圧は170/90,3月15日の血圧は200/100であった。4月11日,血糖値は248であり,患者は,糖尿病との確定診断を受けた。尿検査の結果は,蛋白半定量++,卵円形脂肪体+,硝子円柱+++,顆粒円柱++で,腎機能異常が示唆された。

担当医師は,患者に対しダイエットを指示し,次回からは毎回,空腹時血糖を検査するとした。ヘモグロピンA1cの検査結果は,7.1で,食前の空腹時血糖値は,4月25日が125,5月12日が110,5月30日が114であった。

患者は,6月3日深夜,自動車の助手席に乗車中に衝突事故に遭い,救急車で被告病院に搬送され,脳震盪の疑いで外科に入院した。入院時の計測では,身長が150cm,体重が74kgであった。診察の結果,頭部打撲,脳震盪,右肩右下肢打撲のほか,貧血,腎機能障害,糖尿病,狭心症,高血圧と診断された。検査の結果では,尿素窒素51.6,クレアチニンが5.3であり,腎機能の著しい悪化が認められた。

6月4日の検査では,尿素窒素が46.9,クレアチニンが5.6であり,同月7日の検査では,尿素窒素が44.8,クレアチニンが5.9であった。7月16日の血圧は164/108,血糖値は98であったが,患者は両手がしびれていた。担当医師は,交通事故で入院した際の検査結果から,腎障害が急に進んでいたと考え,糖尿病性腎症の悪化と判断した。しびれの原因については,交通事故か糖尿病性神経障害のいずれかと考えた。

担当医師は,患者に対し,7月16日,「腎症状が悪化している。活性酸治療で1日30錠の薬を飲めば1年はもつが,その後は人工透析にならざるを得ない」旨を説明をした。患者は,8月10日午後,左手内シャント造設手術を受けた。8月13日には尿素窒素が88.5,クレアチニンが10.5と上昇したので,8月16日,右大腿静脈にカテーテルを留置して人工透析が導入された。

患者は,4年間以上にわたり人工透析治療を受けたが,平成10年4月27日,慢性腎不全により死亡した。

患者の夫と子5人は,被告病院を開設する組合に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計 2500万円

結  論

一部認容(認容額 合計 1600万円)

争  点

①腎機能の悪化に対する検査を行う義務があったか。
②慢性腎不全の原因は糖尿病性腎症か。
③損害額

認容額の内訳

患者本人の慰謝料

1600万円

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