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神経内科における過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

患者が入院中にカンジダ菌を起因菌とする敗血症を原因とする多臓器不全で死亡したことについて,担当医師に必要な検査や尿道カテーテルの管理等を怠った注意義務違反が認められず,また,入院中に徴収された差額ベッド代についての返還請求が否定されたケース

 

東京地方裁判所 平成14年(ワ)第17439号 損害賠償請求事件
平成16年9月30日判決 控訴・控訴棄却,上告・上告棄却
【入院管理,因果関係,その他】

<事案の概要>

患者(大正8年生,女性)は,脳梗塞の既往があり,歩行困難な状況であった。平成10年6月,患者は,経口摂取が難しくなり胃瘻が造設され,ほとんど失語状態であった。患者は,平成12年5月13日,経管栄養注入中に転倒し,同月16日に呼吸窮迫及び意識レベルの低下を起こし,被告病院神経内科外来を受診し,翌17日に入院した。患者には入院当時から不整脈や意識低下が見られ,尿道カテーテルが留置され,循環動態及び呼吸状態が悪化したため,同月19日から気管内挿管,6月2日には気管切開が行われ,昇圧剤(イノパン)の持続点滴がなされ同月20日には肺うっ血から利尿剤(ラシックス)の投与も行われた。

5月18日に採取した尿道カテーテルの培養からは菌の発育は認められなかったが,6月1日に混濁が強い膿様尿が観察され,同日の尿道カテーテルの培養からグラム陰性桿菌とカンジダ菌(真菌)が少量培養された。7月5日に採取した尿からも酵母様真菌が培養され,同月10日には尿混濁が観察され,同月11日に採取した尿の細菌検査でセラチア菌,腸球菌,酔母様真菌が培養され,同日の尿検査の結果からも,尿中に多数の真菌と白血球が含まれていることが判明した。

5月24日,胃瘻部の膿からも酵母様真菌が検出されており,5月29日に採取した喀痰及び咽頭粘液からも酵母様真菌が多数検出されており,6月9日及び7月17日に採取した鼻腔粘液から酔母様真菌が少数ながら検出されていた。

患者に対し,抗菌薬(抗生物質)であるカルベニンが6月11日から同月13日まで,及び6月30日から7月6日まで投与され,7月14日から15日まで抗菌薬アミカシンが投与された。

患者の体温は,5月中は37度前後,同月31日ころから6月10日までの間,37.0度以上になることはほとんどなかった。6月11日ころから体温が上昇したが,6月13日午後6時に36.8度に下がり,以後,同月24日まで,37.0度を超えることはなく,同月30日までは概ね37度前後で,7月2日から同月7日まではほぼ37.0度以下,7月8日から同月12日まで37度前半,同月13日から同月16日まで36度後半で,同月17日以降,37度前後で推移した。血中の白血球数及びCRP値は5月下旬以降基準値を上回っていた。

患者は,7月24日,家族の希望で退院し,IVHカテーテル,胃瘻カテーテル,尿道カテーテル,人工呼吸器を装着した状態で自宅療養をしていたが,同月30日に高熱を出し,往診した在宅医療を担当する医師が,被告病院に患者の受入れを打診したが,個室がないために受入れは無理である旨回答されたため,甲病院(総合病院)に入院することになった。

患者は,7月30日,甲病院に入院したがこの時点で敗血症を発症しており,同日の尿に少し混濁が見られ,翌31日に採取された留置カテーテル尿からカンジダ菌が検出され,甲病院入院時及び入院中,IVHカテーテル及び胃瘻カテーテルからもカンジダ菌が検出された。

患者は,8月15日,患者の子の強い希望により被告病院に転院したが,同月23日,カンジダ菌を起因菌とする敗血症を原因とする多臓器不全により死亡した。

患者の子が,被合病院を開設する法人及び担当医師に対し訴訟を提起し,両者に対し損害賠償請求とともに,患者入院中の差額ベッド代の徴収に法律上の原因がないとして,被告病院を開設する法人に対し,差額ベッド代の返還を請求した。

請求金額

法人に対し,合計4181万8877円
(うち3689万3617円については担当医師と連帯)
担当医師に対し,合計3689万3617円(法人と連帯)

結  論

請求棄却

争  点

①カンジダ菌の感染経路・カンジダ症の発症時期
②培養検査・カンジダ菌対策を怠った注意義務違反の有無
③不適切な尿道カテーテルの使用・残置を行った注意義務違反の有無
④緊急入院の拒絶についての注意義務違反の有無
⑤甲病院に対する引継きを遅延させた注意義務違反の有無
⑥差額ベッド代の徴収に法律上の原因があるか否か

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