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神経内科における過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

高齢の患者に対する経管栄養管理方法についての過失が認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成14年(ワ)第13040号 損害賠償請求事件
平成15年10月29日判決
【検査,入院管理】

<事案の概要>

患者(大正3年生,女性)は,平成14年1月17日ころから,全身状態が悪化し,同月24日夕方,意識レベルが低下したため,被告病院(総合病院)に搬送され入院となった。患者の意識レベル低下原因は明らかではなかったが,脳波検査でてんかんも疑われたことから,被告病院神経内科の医師が担当となった。

担当医師は,当初,中心静脈栄養によって患者の栄養管理をしていたが,同年2月中旬ころ,39度を超える発熱があり,血液培養検査でメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)が検出されたことから,中心静脈カテーテルからMRSEに感染している可能性が高いと判断し,同月21日,中心静脈カテーテルを抜去した。

担当医師は,患者の栄養状態を改善する必要を考えていたが,嚥下テストの結果,経口投与による栄養管理は困難な状態であったことから,中心静脈栄養に代わる栄養管理方法として,経鼻チューブを留置して流動食を投与する経管栄養を行うこととした。

このころ患者の意識レベルは,JCSⅠ群とⅡ群の間で変動していた。担当医師は,同月25日から27日までの間,経鼻カテーテルによって1日750mlの流動食を3回に分け,1回当たり250m1を2時間かけて投与したが,3日間で発熱等の全身状態の悪化はなく,むせや流動食の嘔吐なども認められなかったことから,同月28日,流動食の投与量を1日当たり1500mlとし,これを3回に分け,1回当たり500m1を2時聞かけて投与することとした。

ところが,患者が,昼間の流動食投与後に多量の流動食を嘔吐し,夕方の流動食投与時にも多量に嘔吐したことから,この日の流動食投与は中止された。

担当医師は,同年3月1日,誤嚥性肺炎を発症する可能性があることを念頭に置き,患者に抗生物質を投与した。同月3日朝方,患者の呼吸状態が悪化したため,当直医であったA医師が,経鼻カニューレによる酸素投与,エアウェイの挿入を行った。呼吸状態はいったん改善したものの,再び悪化が認められたことから,同日夕方,担当医師が胸部レントゲン検査を行ったところ,誤嚥性肺炎と診断された。担当医師は,同月6日,培養検査にて,MRSEとエンテロコッカスが検出されたことを受け,抗生物質をパンコマイシン及びミノマイシンへと変更した。

患者の誤嚥性肺炎は,次第に改善し,同月18日には胸部レントゲン検査上,肺の透過性も改善したが,同月21日には微熱が認められ,同月25日には,培養検査でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出されたため,担当医師は,パンコマイシンを投与しつつ経過観察をしていたが,微熱,肺雑音などの症状が続き,同月28日には,胸部レントゲン検査上,左肺野の透過性低下が認められ,MRSAを原因菌とした誤嚥性肺炎と診断された。

患者に対し,抗生物質の継続投与等が行われたが,患者の肺炎は次第に悪化し,同年4月6日死亡した。

患者の家族(次女)が,被告病院を開設する地方公共団体に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

4130万9367円

結  論

請求棄却

争  点

①栄養管理方法として経鼻チューブによる流動食投与を選択したことの適否,及び,流動食の量を平成14年2月28日に従来の2倍にしたことの適否
②胸部レントゲン検査を誤嚥直後に行うべきであったか,平成14年3月2日深夜の時点で,診察・胸部レントゲン検査によって肺の異常の有無を確認すべきであったか。

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