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消化器内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

レントゲン検査において,胃の悪性病変を疑わせる部分を見落とした点に過失があり,死亡時になお生存していた高度の蓋然性は認められないが,相当程度の可能性が認められるとされたケース

 

大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第10921号 損害賠償請求事件
平成17年8月31日判決 確定
【検査,因果関係】

<事案の概要>

患者(昭和31年生,女性)は,食欲不振,食後のむかつきなどを訴え,平成5年4月27日,被告診療所のA医師の診察を受け,胃のレントゲン検査を受けた。仰臥位で撮影されレントゲン写真(以下「本件写真」という。)には,胃体中部後壁にバリウムの溜まりが映し出されており,潰瘍があり,周辺部に潰瘍によるむくみが生じて盛り上がっていることを示唆する悪性の病変を疑わせる所見であった。しかし,A医師は,本件写真で胃の下部に黒く抽出された部分から胃炎と診断し,胃体中部後壁のバリウムの溜まりの存在を認識しながら,再度のレントゲン検査や胃内視鏡検査の受診を指示しなかった。患者は,同年5月ころ,A医師とは別の医師の診断を受けようと考え,被告診療所のB医師の診察を受けたが,B医師も,胃潰瘍ないし胃癌の可能性を疑わず,精査を指示しなかった。

患者は,平成6年11月3日,自宅で気を失って倒れたため,翌4日,被告診療所を受診し,被告病院においてレントゲン検査及び胃内視鏡検査を受けた。患者は,病理組織学的検査の結果,悪性度Ⅴの中等度分化型腺管状腺癌であると診断された。

患者は,同月21日,甲病院(総合病院)に入院し,C医師が主治医となって,同年12月1日,胃全摘除,脾摘除,膵体尾部切除,胆嚢切開及び左副腎摘除の手術を受けた。病理組織検査の結果,患者の胃癌は肉眼視的には中部後壁にあるボールマンⅢ型の進行癌であり,原発巣の胃壁深達の程度は,癌の浸潤が漿膜下組織を越えて漿膜面に達している(S2,SE)が,他臓器への浸潤はなく(T3),リンパ節への転移の程度は,第2群リンパ節への転移を認めるが,第3・4群リンパ節への転移は認められず(N2),播種性の転移及び肝転移は認められなかった(P0,H0)。胃癌の進行度はステージⅢbであり,根治手術は成功し,根治度Bであった。患者は,平成12年2月,左右卵巣腫瘍のため開腹手術を受け,右卵巣は摘出されたが,左卵巣は摘出されることなく手術が終了した。この卵巣腫瘍は,病理組織検査の結果,低分化腺癌であり,胃癌からの転移と診断された。患者は,平成14年3月29日,癌性腹膜炎により死亡した。

患者の家族(夫及び子)は,被告診療所及び被告病院を開設する法人,A医師及びB医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

1.合計8103万円
2.謝罪文交付

結  論

一部認容(認容額 4名合計878万9999円)

争  点

①本件写真における異常陰影の有無及び胃癌発見の可能性
②本件検査において癌が疑われていた場合の患者の延命可能性

認容額の内訳

①患者の慰謝料

800万円

②弁護士費用

合計 79万円

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