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呼吸器内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

急性喉頭蓋炎により気道閉塞を来した患者に対して行われた気道確保措置の選択及び実施上の過失がいずれも認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成16年(ワ)第936号 損害賠償請求事件
平成17年7月29日判決 控訴
【手技,治療方法,時期】

<事案の概要>

患者(当時64歳,男性)は平成12年8月8日午後11時過ぎころ,夕食時からの喉の痛みを訴え,被告病院(総合病院)を受診し,当直医であった被告医師(救急専門医)の診察を受けた。被告医師は,患者に対し,頸部及び胸部のレントゲン検査を実施し,喉頭蓋及び披裂部が大きく腫脹し,喉頭蓋に異物と思われる白い陰影が存在している所見を認めるとともに,上記喉頭蓋及び披裂部の腫脹により患者の気道は狭窄しているもののエアウェイは存在することを確認した。

被告医師が,異物を確認するための手段を他の当直医と検討していたところ,患者が突然うめき声を上げて立ち上がり,喉に手を当ててのけぞったため,被告医師は,喉頭蓋等の腫脹等により上気道が閉塞したものと判断し,気道確保の処置をとろうとしたが,患者が激しく暴れたため,体動を抑制するため,研修医,事務職員,警備員等を呼ぶよう指示するとともに,麻酔科医師の応援を要請した。

被告医師は,研修医等が患者を抑制しようとしている間に,緊急気道確保措置として18G針を輪状甲状間膜の位置から気管に2本刺入したが,患者の体動を十分抑えることができなかったことから,これ以上の穿刺は困難かつ危険と判断して中断し,刺入済みの針も抜去した。このころ,駆けつけた麻酔科医師は,経口による気管内挿管を試みたが,患者の休動が激しく,又,咽喉頭部の腫脹で奏功しなかった。

被告医師は,輪状甲状間膜をトラヘルパーで穿刺することにより気道を確保しようと考え,患者の体動が徐々に弱まっていたこともあって,研修医等による抑制下,患者の輪状甲状間膜にトラヘルパーで穿刺することに成功し,トラヘルパーに接続したジャクソンリーズのパッグを操作して患者に酸素を投与したが,酸素が十分投与できなかった。そこで,被告医師は,いったんトラヘルパーを抜去し,輪状甲状間膜より2,3㎝尾側に当たる第2及び第3気管軟骨間付近に改めてトラヘルパーを穿刺することとした。被告医師は、確実に気管に穿刺するため,気管を確認できる程度に皮膚及び気管周囲の皮下組織を切開・剥離した上で,トラヘルパーを穿刺したが,患者が心停止に至ったため,卜ラヘルパーによる換気を研修医らに任せ,心臓マッサージ及びボスミンの点滴投与を行った。その結果,患者の心拍はいったん再開し,被告医師は,心臓マッサージを中止し,ボスミンの点滴投与を継続しながら様子を観察したが,再び心停止したため,被告医師は,心臓マッサージ及び強心剤の投与を実施した。

麻酔科医師は,応援に駆けつけて以降,何度も経口気管内挿管を試みていたが,二度目の心停止後に試みた挿管が奏功し,大量の酸素が患者に投与されるに至った。患者の心拍は,このころ再び再開し,ICUに移されて喉頭蓋炎の原因検索が行われるたが,結局,その原因は解明せず,患者は,意識が回復しないまま,平成13年4月10日,被告病院から他の病院へ転院となり,平成14年3月25日,同病院で死去した。

患者の家族(妻及び子)が,被告病院を開設する法人及び被告医師に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計6118万9708円

結  論

請求棄却

争  点

①2回目の穿刺による換気措置の適否
②患者の体動を抑制するためにとられた措置の適否

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