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呼吸器内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。
肺癌の早期発見・治療を行うべき義務及び陽性の喀痰細胞診検査結果を患者に告知すべき義務について,患者の直接死因は肺癌ではなく肺炎であるとしていずれの過失も否定されたケース
東京地方裁判所 平成16年(ワ)第120号 損害賠償請求事件(甲事件)平成16年(ワ)第122号 損害賠償請求事件(乙事件)
平成17年7月28日判決 確定
【説明・問診義務,検査,因果関係】
<事案の概要>
患者(昭和2年生,男性)は,平成元年から高血圧症及び心疾患の治療目的で甲事件被告の設置する病院(被告甲病院)を継続的に受診していた。平成13年1月ころ,患者は,血痰を訴えて同病院で喀痰細胞診検査を受けた後,呼吸困難等を訴えて乙事件被告の設置する病院(被告乙病院)に入院し,肺炎と診断されて同年2月下旬ころまで治療を受けた。患者は,同年3月上旬,退院後の経過観察で被告乙病院の外来を受診した際,血痰を訴えて喀痰細胞診検査を受けた。
患者は同時期に別の医療機関において同様の訴えをして喀痰細胞診検査を受け腺癌・クラスVと診断され,同医療機関から紹介された総合病院に入院し,肺癌の治療(主に対症療法)を受けたが,同年4月に呼吸不全により死亡した。
被告甲病院及び被告乙病院の担当医師らは,患者に対し,各喀痰細胞診検査の結果(いずれも腺癌・クラスV)を告知していなかった。
患者の遺族らは,患者は肺癌(肺胞上皮癌)により死亡したとして,被告甲病院及び被告乙病院の医師らが患者の肺癌の早期発見・治療を怠り,又,肺癌罹患を示す喀痰細胞診検査の結果を患者に直ちに告げなかったなどと主張して,被告甲病院及び被告乙病院をそれぞれ設置する被告らに対し,損害賠償請求訴訟を提起した。
請求金額 | 合計2905万円 | ||||
結 論 | 請求棄却 | ||||
争 点 | ①患者の直接死因は,肺炎か肺胞上皮癌か(患者は,肺胞上皮癌に罹患していたか否か。)。 ②被告甲病院及び被告乙病院の医師らに,患者の肺癌を早期に発見・治療すべき義務違反ないし過失があったか否か。 ③被告甲病院及び被告乙病院の医師らが,喀痰細胞診検査結果を患者に告知しなかったことにつき,義務違反ないし過失の有無 ④甲,乙事件の被告らに,患者に喀痰細胞診検査の結果を速やかに告知できるよう院内の体制を整備しておくべき注意義務違反があったといえるか否か。 |
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