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呼吸器内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

肺炎の患者に対する呼吸管理について担当医師と看護師の不法行為責任が否定されたケース

 

東京地方裁判所 平成14年(ワ)第1771号 損害賠償請求事件
平成15年5月21日判決
【入院管理】

<事案の概要>

平成11年2月26日朝,患者(明治36年生,男性)は,下血による大量のタール便が出現して前ショック状態に陥り,意識レベルが低下し呼吸も困難になって,救急車で被告病院(総合病院)に搬送された。同年3月3日,検査により,患者にはうっ血性心不全と胸水が認められた。胸水は2月26日より増加していた。同日から,高カロリ一栄養の輸液を実施するために,身体が抑制された。

同年4月,患者は症状の悪化に伴って移動が困難になったため,同月6日から,レントゲン撮影を病室でポータブル撮影装置を使用して行われるようになった。患者には,浮腫,胸水増加,尿量減少,気管支れん縮などの症状が見られるようになり同月25日,心拍監視装置が装着された。同装置により,無線でつないだベッドサイドとナースステーションのモニターを通じて,看護師らが患者の心拍と呼吸を常時監視できる態勢になった。同月27日,ポータブル撮影装置により,患者の胸部レントゲン撮影が行われ,両側肺野に肺炎が認められた。同月23日に採取された喀痰の培養検査の結果,MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が検出された。同月28日,患者は,ARDS(急性呼吸窮迫症候群),MRSA性の肺炎と診断された。DIC(播種性血管内凝固症候群)の傾向も見られた。患者に対して,呼吸を楽にするため,ベッドの頭側部分を起こして体位を坐位とする処置がとられた。患者の家族は相談の上,患者本人につらいことはしないで自然経過で診ていくのがよいと考え,人工呼吸器は装着しない(延命措置は行わない)との決断をした。

同月29日午前11時ころ,内科病棟担当医師は,患者の状態が徐々に悪くなっていると判断し,看護師に対し,投与酸素の濃度を上げて経過観察をするよう指示した。午後8時20分ころ,家族からナースコールがあったので,看護師が病室へ行ったところ,患者の意識レベルが痛覚刺激にも反応しない意識不明の状態まで低下し,顔色が悪く,指先などの末梢も冷たくなっていたため,患者が循環不全に陥っているものと判断し,患者の体位を坐位から仰臥位頚部後屈下肢挙上へと変換して,気道を確保しながら血圧を回復することを試みた。看護師は,体位変換を行ったことを担当医師に報告し,担当医師から経過観察の指示を受けた。

午後8時30分には患者の収縮期血圧は70まで下がり,午後9時45分には60/36(mmHg)へ低下し,心的数も毎分80台となり,チアノーゼが生じ,午後10時,心拍数は毎分30ないし40台に低下し,無呼吸となり,午後10時40分に呼吸停止となり,午後10時48分,死亡が確認された。

患者の子2名は,被告病院を開設している地方公共団体に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計750万円

結  論

請求棄却

争  点

担当医師と担当看護師の呼吸管理に過失があったか否か。

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