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循環器内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

経皮的冠動脈血管形成形成術(PTCA)と冠動脈バイパス術(CABG)の選択を誤った注意義務違反,ステント径,バルーン径の選択及び加圧方法を誤った注意義務違反,冠動脈破裂後の止血と緊急CABGが遅れた注意義務違反,PTCAの危険性等の説明を怠った注意義務違反がいずれも認められなかったケース

 

大阪地方裁判所 平成16年(ワ)第4184号 損害賠償請求事件
平成17年7月6日判決 控訴
【説明・問診義務,手技,適応】

<事案の概要>

患者(大正13年生,女性)は,平成15年5月8日,冠動脈造影検査(CAG)の目的で被告病院(市民病院)循環器科に入院した。同月9日実施されたCAGの結果,右冠動脈と左前下行枝に有意な狭窄病変が認められ,狭心症と診断された。病変部は,びまん性の強度狭窄で一部石灰化も認められたが,ほとんど屈曲は認められず,石灰化の程度は強くなかった。同月10日,患者はいったん退院し,同月22日,狭心症の治療のため被告病院に入院し,翌23日,経皮的冠動脈血管形成術(PTCA)が実施された。ステントサイズを決定するための血管内超音波検査(IVUS)で,左前下行枝中枢側(#6)ないし同末梢側(#7)の病変より末梢で,中膜-中膜の長軸径が2.5㎜前後,病変より近位部で,中膜-中膜の長軸径が3.0㎜弱であったため末梢側の#7に2.5㎜X24㎜ステント径×ステント長のステントを留置し,これを10気圧で8秒,12気圧で10秒拡張したが軽度のステント拡張不全が残った。そこで,再度同ステントのマウントバルーンをステント部に挿入しようとしたが挿入できず,マウントバルーンを2.75㎜X20㎜(バルーン径×バルーン長)のバルーンカテーテルに交換し,ステント内を14気圧で4秒,14気圧で5秒,14気圧で5秒の計3回拡張された。患者は,拡張後バルーンをしぼませガイドカテーテルの中に引き込んだ直後,急に徐脈となり,収縮期血圧が40台まで低下したため,エホチール(昇圧剤)が静脈注射されたが,血圧は戻らず,間もなく意識レベルが低下し呼吸停止に至った。

担当医師は,患者の呼吸停止に対レ心肺蘇生処置を実施し,呼吸確保後,左冠動脈造影により冠動脈破裂及び心タンポナーデと診断した。担当医師は,心嚢穿刺を行って,心嚢内の血液を可能な限り排液し,バルーン径を透視下で#7の穿孔部に移動し,拡張して止血し,プロタミン(血液抗凝固剤へパリンの中和剤)を静脈注射したが,冠動脈内の血栓形成により冠動脈血流に障害が生じたため,やむを得ずへパリンを静脈注射したが,透視下の造影で止血したかに見えた穿孔部から再出血が認められ,再度バルーン拡張による止血を試みた。

担当医師は,バルーン拡張による完全な止血は困難と判断し,緊急の止血術及び冠動脈バイパス術(CABG)施行を決定し,同日,被告病院心臓血管外科のA医師,B医師らにより,冠動脈の亀裂部の縫合止血と緊急CABGが実施された。

術後,患者の意識状態は,応答不良状態が続き,同年5月24日には尿量低下とカリウム値の上昇から持続的血液透析(CHD)開始となり,同月25日,血圧が不安定となり,スワンガンツカテーテル挿入後,心不全,急性循環不全を起こし,開胸手術が実施された。

同月26日午前3時23分,患者は心停止となり,開胸心マッサージが開始されたが,心停止を繰り返し,心マッサージで自己心拍を再開したが,同日午後3時30分,心拍数,血圧が低下し,午後4時死亡した。

患者の子らが,被告病院を設置経営する地方公共団体に対して,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計5183万4130円

結  論

請求棄却

争  点

①PTCAではなくCABGを選択すべき注意義務があったか否か。
②PTCAに使用するステント径及びバルーン径の選択,加圧の方法を誤った注意義務違反の有無
③冠動脈破裂後,止血処置と緊急CABGが遅れた注意義務違反の有無
④PTCAの危険性や予後等の説明を怠った注意義務違反の有無

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