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循環器内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

急性心筋梗塞症患者に対する経皮的冠動脈形成術(PTCA)において,大腿動脈等からの出血により大腿神経麻痺の後遺障害を生じたことについて,手技上の過失及び早期に外科手術による止血を行わなかった過失がいずれも認められなかったケース

 

東京地方裁判所 平成14年(ワ)第13849号 損害賠償請求事件
平成17年3月30日判決 控訴
【手技,入院管理,治療方法,時期】

<事案の概要>

患者(昭和22年生,男性)は,平成13年1月31日,胸痛を訴え,被告病院(大学病院)に救急搬送され,急性心筋梗塞の疑いと診断された。心臓カテーテル検査(右大腿部を穿刺して大腿動脈にカテーテルを挿入して心臓に到達させ,冠動脈の状態を確認する検査)を行い,心筋梗塞が生じていれば経皮的冠動脈形成術(PTCA)を実施することになり,循環器科のA医師がセルジンガー法(大腿動脈の前壁〔皮膚寄りの血管壁〕のみを穿刺針で穿刺してカテーテルを挿入する手技)により大腿部を穿刺して大腿動脈内にカテーテルを挿入し,心臓カテーテル検査を実施したところ,右冠動脈がほぼ完全な閉塞状態であったため,狭窄部位をバルーンで拡張し,狭窄部位にステントを留置するPTCAが実施された。

31日午後7時30分ころ,患者の主治医となった循環器科のB医師は,右大腿部の穿刺部位を圧迫して止血措置を行い,その部位に止血瓶を置いて圧迫帯で回定するとともに,心筋梗塞の再発を防ぐため,抗凝固作用のあるへパリンの点滴投与を開始した。翌2月1日午前8時ころ,B医師は圧迫帯を外して固定を解除したが,その時点で特に穿刺部位からの出血や腫脹などは認められなかった。

同日午後10時ころ,患者の右大腿部に腫脹が出現し,腫脹の増大,血圧の低下,貧血傾向などが認められ,患者が右大腿部などの疼痛を訴えるようになったことから,右大腿部の穿刺部位からの内出血が疑われた。B医師は,点滴の増量,昇圧剤の投与,穿刺部位の再度の圧迫止血などを指示したが,血圧の低下や疼痛が改善しなかったため,へパリンの投与を中止し,右大腿部の造影CT検査,輸血などを実施した。その後,患者の血圧はやや上昇したものの,貧血傾向が続き,穿刺部位からの出血が疑われた。

2月2日午前10時ころ,収縮期血圧が30台まで低下し,意識低下が認められたため,人工換気,昇圧剤の増量,血漿代用剤の投与などが行われ,患者の収縮期血圧は120程度まで上昇し,意識状態も改善されたが,血液検査の結果では貧血傾向が進行していた。B医師は,循環器科の他の医師と相談し,同日午後2時ころ,右大腿部の出血を外科的に止血する手術を行うことを決定した。午後3時より,心臓血管外科のC医師が執刀医となって緊急大腿動静脈再建術が開始され,右大腿部を切開したところ,大腿動脈に浅大腿動脈の前壁に1個,深大腿動脈の後壁に1個穿刺孔があった他,大腿静脈の前壁と後壁に各1個の穿刺孔が存在し,穿孔部からの出血が皮下組織や筋層内に流入して組織が著しく腫れている状況が認められた。C医師は,大腿動脈と大腿静脈の穿刺孔をすべて塞ぎ止血したが,組織内に流入した血液は取り除くことができなかった。止血術により右大腿部の出血は止まったが,組織に浸潤した出血による右大腿部の腫脹は2月14日ころまで続いた。

C医師の手術後,患者は,右大腿部の感覚障害や右下股の運動障害を訴えるようになり,神経内科や整形外科を受診した結果,右大腿神経麻痺による感覚・運動障害と診断された。

患者は,A医師の穿刺の過失やB医師の止血措置における過失などにより大腿神経麻痺の後遺障害が生じたとして,被告病院を開設する学校法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計8560万8296円

結  論

請求棄却

争  点

①A医師が大腿動脈を穿刺する際,大腿神経を損傷したか否か。
②A医師が大腿動脈を穿刺する際に穿刺部位を誤ったか否か。
③A医師が大腿動脈を穿刺する際,大腿静脈まで貫通させたか否か。
④A医師が大腿動脈を穿刺する際に後壁まで貫通させたことの過失の有無
⑤B医師のした上血措置は不十分であったか否か。
⑥より早期に大腿部の出血に対し,外科的止血措置を講ずべきであったか否か。

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