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循環器内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。
心房粗動の治療として行ったカテーテルアブレーションについて、説明義務違反が認められたケース
大阪地方裁判所 平成14年(ワ)第5697号 損害賠償請求事件
平成17年1月28日判決 確定
【説明・問診義務,適応,治療方法・時期,因果関係】
<事案の概要>
エホパの証人であった患者(昭和19年生,女性)は,平成13年5月3日,眼前暗黒感,動悸等を訴えて,甲病院を受診し,徐脈と診断され,同月4日,被告病院(総合病院)に紹介入院となった。
患者は,被告病院において,精密検査を受け,洞機能不全症候群と診断され,ペースメーカーの植え込みが検討された。担当医師(循環器内科)は,同月22日に実施された電気生理学的検査で心房粗動も疑われたことから,カテーテルアプレーションを行うことを勧めた。患者は,カテーテルアブレーションを受けることを承諾したが,自己の宗教的信念から,輸血が必要となる事態が生じても,輸血を拒否する旨担当医師に伝え,輸血謝絶兼免責証書を差し入れた。
患者は,同年6月6日,カテーテルアブレーションを受けたところ,その前段階である電気生理学的検査実施中,右心房前壁に穿孔を生じ,急性心タンポナーデとなった。担当医師は輸血を説得したが,患者は拒否した。無輸血のまま緊急開胸術が実施され,穿孔部の縫合が行われたが,患者は,無輸血の影響により,死亡した。
患者の夫及び子2名のうちの1名が,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。
請求金額 | 合計3721万0932円 | ||||
結 論 | 一部認容(認容額 合計585万円) | ||||
争 点 | ①患者の心房組動にカテーテルアブレーションの適応があったか。 ②カテーテルアブレーションについての説明義務違反の有無 ③心嚢穿刺ないし緊急開胸術を実施すべきであったか否か。 ④①ないし③の過失と死亡との間の因果関係の有無 ⑤患者は,被告に対する損害賠償請求権を放棄していたか否か。 | ||||
認容額の内訳 | ①慰謝料 | 合計525万円 | |||
②弁護士費用合計 | 合計60万円 |
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