光樹(こうき)法律会計事務所 医療事故・医療過誤の法律相談 全 国 対 応 電話相談可

お問合せ
平日10:30~17:00
03-3212-5747
医療過誤 医療事故 弁護士68.png

循環器内科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

一般的な適応を欠く経皮的冠動脈形成術(PTCA)を実施し,それについての説明義務違反があったために,患者の同意が正当な医療行為として認められるための同意としても,自己決定権の行使としての同意としても有効性を欠くとして,損害賠償請求が認められたケース

 

東京地方裁判所 平成13年(ワ)第9642号 損害賠償請求事件
平成16年2月23日判決
【説明・問診義務,手技,適応,治療方法・時期,因果関係,損害論】

<事案の概要>

患者(昭和15年生,男性)は,平成元年から糖尿病の治療を受けていたが,平成11年8月下旬に心電図異常を指摘されたため,同年9月9日,被告病院(大学病院)を受診し,同年11月30日には冠動脈造影(CAG)を受け,冠動脈に狭窄病変があることが判明した。患者は,平成12年2月7日に被告病院へ入院し,翌8日,A医師の執刀による第1回目の経皮的冠動脈形成術(PTCA)(「前回PTCA」)を受け,同月11日に退院した。患者は,5月15日、被告病院に入院し(主治医はB医師),同月16日に冠動脈造影(CAG)を受けた。患者は,同月19日,被告病院に再度入院し同月22日,A医師の執刀による2回目のPTCA(「本件PTCA」)を受けた。

同日,右大腿動脈よりシースの挿入,へパリンの静注等が行われた後,午後1時53分に本件PTCAが開始され,午後2時10分に左前下行枝においてカッテイングバルーンの拡張が開始された。カッテイングバルーンの拡張が4気圧又は5気圧で6回行われた午後2時20分の段階で胸痛の訴えがあり,造影上左前下行枝中間部の破裂が確認され,血圧の低下も認められたことから,ノルアドレナリン・硫酸アトロピンの注射,補液,酸素投与が行われたほか,硫酸プロタミンの投与を行ってヘパリンを中和し,パーフュージョンバルーンを左前下行枝中間部破裂部位で低圧拡張し,止血が図られた。しかし,経胸壁心臓超音波検査の結果,心タンポナーデの状態であると判断され,心臓外科に心のうドレナージ術の依頼がなされた。午後2時38分に心のうドレナージ術が開始され,午後2時58分に気管内挿管されたが,午後2時58分に心室頻脈が生じ(いったん消失した),血圧が低下(収縮期67mmHg)したまま上昇せず,ノルアドレナリン・硫酸アトロピンの静注,補液が行われたが,午後3時に再び心室頻脈が生じ,午後3時3分,血圧もさらに低下し(収縮期33mmHg)心臓マッサージが開始され,午後3時11分に左大腿動脈から大動脈内バルーンパンピング(IABP)を行い,血圧は収縮期104mmHgへと回復した。

午後3時26分に左冠動脈を造影したところ,左冠動脈主幹部に血栓性閉塞が確認され,午後3時30分にバルーン拡張を行ったが血流の回復は得られず,ヘパリン静注後,同部にステントを挿入しても血流の回復が得られなかったため,心臓血管外科に緊急冠動脈バイパス術(CABG)が依頼された。その後、バルーン拡張が行われたが,血流回復は得られず,午後4時15分に手術室に入室し,心室頻脈に対し心臓マッサージを継続しながらCABGが開始され,午後5時12分には人工心肺が開始されたが,CABG終了後,翌5月23日午前O時30分に患者の死亡が確認された。

患者の妻及び子2人が,被告病院を開設する法人に対し,損害賠償請求訴訟を提起した。

請求金額

合計7962万1645円

結  論

一部認容(認容額合計1320万円)

争  点

①本件PTCAを行うべきではなかったのに行った過失・債務不履行があるか否か。
②本件PTCA施行についての説明義務違反の有無
③本件PTCA施行中に手技上のミスにより左前下行校中間部(狭窄部)に大穿孔を生じさせた過失・債務不履行があるか否か。
④左冠動脈主幹部に亀裂が生じた後,直ちにステントを挿入すべきであるのに怠った過失・債務不履行があるか否か。
⑤PCPSを準備・使用すべきであるのに使用しなかった過失・債務不履行があるか否か。
⑥緊急CABGの準備を怠った過失・債務不履行があるか否か。

認容額の内訳

①患者の慰謝料

1200万円

②弁護士費用

120万円

医療事故・医療過誤(医療ミス)について法律相談をご希望の場合には,『医療事故調査カード』をダウンロードし,必要事項をご記入の上,当事務所宛にご郵送ください 担当弁護士が内容を拝見した後,ご相談日をご連絡いたします 電話相談も可能です

 歯科・精神科・美容のご相談は受け付けておりません

光樹(こうき)法律会計事務所 

〒100-0005 東京都千代田区丸の内2丁目5番2号 三菱ビル9階 969区

※丸ビルの隣、KITTEの向かい

TEL:03-3212-5747(受付:平日10:30~17:00)

F A X  :03-3212-5740

医療事故・医療過誤(医療ミス)についての法律相談をご希望の場合には、下記『医療事故調査カード』をダウンロードし、必要事項をご記入の上、当法律事務所宛にご郵送ください。なお、歯科・精神科・美容相談は受け付けておりません

※担当弁護士が内容を拝見した後、ご相談日をご連絡いたします。