過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 消化器外科 東京地判平成23年3月24日判決

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消化器外科における過去の医療過誤・医療事故の裁判事例。事案の概要・請求金額・結論・争点・認容額の内訳など。

 

大腸がん及び多発転移性肝がんで死亡した患者について、診断及び治療を怠った過失、ラジオ波焼灼術(RFA)に関する説明義務違反がいずれも否定されたケース

 

東京地方裁判所 平成20年(ワ)第22982号 損害賠償請求事件
平成23年3月24日判決
裁判内容 請求棄却・控訴
【説明義務、検査、治療方法】

<事案の概要>

患者(死亡当時71歳、男性)は、胃がん及び腎がん術後、経過観察目的で被告病院に定期通院していた。血液検査で、平成17年2月8日以降、腫瘍マーカーであるCEA(がん胎児性抗原)の軽度上昇が認められていたが、下行結腸がんと診断されたのは同年12月20日で、翌平成18年1月24日には肝ダイナミックCT検査で肝臓に少なくとも3個の小転移巣が認められた。患者は、同月25日、被告病院において下行結腸がん及びこれに起因する多発転移性肝がんの治療のため結腸左半切除術、肝部分切除術及びラジオ波焼灼術(RFA)を受けたが、術後、肝機能障害などを起こし、同年5月、肝不全により死亡した。

 

そこで、患者の家族(妻、長女)が、被告病院の担当医師らには、@大腸がんの診断及び治療を怠った過失、ARFAに関する説明を怠った過失があるなどと主張して、被告病院を開設する学校法人に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。

 

請求金額

2500万円

結  論

請求棄却

争  点

@大腸がんの診断及び治療を怠った過失の有無

ARFAに関する説明を怠った過失の有無

<判決の要旨>

@後方視的には、2月8日までに下行結腸がんに罹患しており、そのためCEAが軽度上昇していたことが高度の蓋然性をもって認められるが、注意義務違反の有無は、当該医療行為を行った時点でその判断に誤りがあったか否かという観点から判断すべきものである。そこで4月26日当時、患者が大腸がんに罹患している可能性が高いと疑う状態にあったか検討すると、CEAは偽陽性を示す場合があることに照らすとがんに特異的とはいえず、CEAが軽度上昇していると医師が認識していたからといって、直ちに、大腸がんに罹患している可能性が高いと疑うべき状態にあったとはいえない。同日のMRI上、胃がんの兆候はなく、CEA上昇が軽度で健常者や良性疾患者でもCEAが基準値を上回ることがあること、消化器がんを疑わせるような症状がみられなかったことから医師が、CEAの再検査を約2か月後とした措置は裁量の範囲内である。医師が、5月中に大腸内視鏡検査、6月中に大腸がんに対する外科手術を行わなかったとしても、直ちに不適切であるともいえない。

 

A本件手術では、でき得るならすべての転移巣について肝部分切除を行う方針で、RFAを行うか不確定であったことが認められるから、医師が、術前に、転移巣を切除できなかった場合の予後、RFAの有効性及び合併症、外科手術以外の治療方法などについて説明すべき義務があったとはいい難い。又、手術当時、RFAは、転移性肝がんの治療方法として特に先進的なものであったわけではなく、その治療効果は相当程度高いと考えられていたことから、仮に患者の肝転移巣が切除不能でRFAを施行せざるを得ないとしても、直ちに、説明義務があったということはできない。更に、原告らが医師に対し、患者に合併症、予後などの厳しい話をあまりしないように要望していた場合、医師が患者の病状、精神状態等を考慮した上、恐怖感など不必要な精神的ショックを与えないように、告知ないし説明をする内容及び程度を慎重に検討することも許されてしかるべきで、医師が患者に対し、上記のような説明をしなかったとしても、直ちに不適切であるとはいい難い。

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